矢野経済研究所は、セキュリティ専業ベンダーおよびシステムインテグレーターを対象に実施した調査の結果を発表した。
調査結果によると、2008年度の情報セキュリティソリューション市場は金額ベースで前年度比14.3%増の2964億900万円になるという。また、2009年度以降は10%程度の伸びで推移していく見込みで、2011年度には4017億4200万円になると予測している。
分野別では機器ツール分野の構成比が最も高く、2006年度から2011年度においては市場全体の65%から70%程度を占める見込み。なお2008年度の需要分野構成比は、製造17.2%、一般ユーザー15.2%、公共14.9%、金融・保険13.4%、流通11.4%、通信9.4%、サービス7.1%、医療・福祉6.3%の順となっている。
従来のセキュリティ対策は大企業を中心に進んできたが、ベンダー各社の中には大企業向けの需要は一巡したのではないかとみるところもあり、まだ対策が行き届いていない中小企業等へと目を向けはじめている。今後は一般ユーザーにまでセキュリティ対策の裾野が広がることで、市場は堅調に推移していくものとしている。
また、主要ベンダーが抱える課題として、ユーザー企業の情報セキュリティに対する危機意識の甘さや、セキュリティ環境構築そのもののあり方を挙げている。特に中小企業はセキュリティ対策の必要性を認識しながらも、まだ具体的な対策には至らないケースが多い。
これらの要因のひとつに、セキュリティ対策にはコストがかかるとの見方が強いことが挙げられる。国内景気の不透明さが増す中でセキュリティ対策投資を控える傾向が強い。また、具体的にどのような対策をすれば万全であるのかが不明確であることも、ユーザーが投資に二の足を踏む要因であるとしている。
対策としては、セキュリティ対策基準の明確化が挙げられる。例えば、セキュリティ対策が先行しているクレジット業界(加盟店、決済代行事業者等)においては「PCIDSS」と名付けられた対策基準が定められ、普及している。明確な対策基準の設定、浸透によって、セキュリティ市場全体の活性化に繋がることが期待されると矢野経済研究所は指摘している。
この調査は、同社専門研究員による直接面談、アンケートによるヒアリング、ならびに文献調査を併用し、5月から9月にかけて実施された。レポートは「情報セキュリティ市場に関する調査結果 2008」として公開されている。
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