しかし、O3Dの再生については有力な証拠がある。
まず、オープンソースプロジェクトであるO3Dの問題追跡サイトでは、無視という兆候が現れている。報告されている217件のバグや提案のうち、過去6カ月間に登録されたもので、対応された形跡があるものはほとんどない。4件が修正され、2009年11月に報告されたインストール関連の問題1件は12月に修正されたが、残りの問題のほとんどは無視されており、まだ「new」と表示されている。
次に、メーリングリストが休止状態だ。ある人が思い切って「O3Dはまだ開発中なのか」と質問した時でさえ、Googleからは、開発中だとして安心させる返答はなかった。2人の人が、O3Dベースのプロジェクトに取り組んでいると答えたにもかかわらずだ。
3つめに、GoogleがChromeにO3Dサポートを組み込もうとする動きに関して、最近の活動はほとんどないものの、非常に重要なプロジェクトが1つある。それは、「O3Dクラスのように振る舞うが内部ではWebGLを呼び出すJavaScriptのクラスを書く」作業だ。
別の言い方をすれば、WebGLの構成要素を使ってO3Dを再構成するということだ。
ほかの証拠は状況的なものだ。GoogleはWebGLを推進している。同社はWebGLをChromeに組み込もうとしており、最新の開発者リリースでのサポートは、Chromeのサンドボックスセキュリティメカニズムに問題を生じさせることがない。
その一方で、Googleはほかの面にも取り組んでいる。WebGLの欠点の1つは、OpenGLテクノロジを使用していることだ。OpenGLは「Mac OS X」やLinuxの3Dグラフィックスでは一般的だが、「Windows」の場合はMicrosoftの「Direct3D」が支配的だ。
そのため、GoogleのANGLEプロジェクトが存在する。これは「Almost Native Graphics Layer Engine(ほぼネイティブなグラフィックスレイヤエンジン)」の略で、ソフトウェアからのWebGLグラフィックコマンドを1つ下のレイヤに渡し、Direct3Dで処理できるようにするものだ。
最後のデータ点は、Google自体がWebGLベースのO3Dというアイデアを「興味深い」と考えていることだ。GoogleのエンジニアリングディレクターMatthew Papakipos氏は12月に、「多少パフォーマンスの問題があるかもしれないが、(ChromeブラウザのJavaScriptエンジンである)V8にいくらかの変更を加えることで、そのような問題を解決するよう取り組んでいる」と述べている。
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