決算説明の電話会議、直前にCFOコメントを配信

米山徹幸(大和総研)2010年03月03日 12時34分

 米国企業の四半期決算発表は、まず証券取引委員会(SEC)に所定様式10-Qを届け、その後、時をおかずにビジネスワイヤなどを経由するプレスリリース、そしてアナリストなど市場関係者向けに電話会議(カンファレンス・コール)による決算説明会となる。

 この1月14日、半導体最大手のインテルは2009年第4四半期決算を発表した。その日午後2時30分(太平洋時間)から始まったカンファレンス・コールの冒頭で、同社のIR責任者ケビン・セラーズ氏が「当社は、このカンファレンス・コールに先立ち、午後1時15分に決算発表し、午後1時30分、前回と同様、CFO(最高財務責任者)のコメントをウェブサイトに掲載しました」と語り、CEO(最高経営責任者)のポール・オテリーニ社長、ステイシー・スミスCFOによる説明が始まった。

 カンファレンス・コールが始まる前に発表されたコメントは8ページ。そこに記載されていたのは、まず要約、そして収益やグロスマージン、支出、その他の収益項目、バランスシートとキャッシュフロー、さらに2010年第1四半期の見通しで収益とグロスマージン、2010年通期の見通しでグロスマージンや支出、課税水準などに言及し、最後は10項目にわたるリスクファクターとなっていた。

 このインテルのイキな計らいにアナリストは好意的だ。というのも、こうしたコメントはカンファレンス・コールが始まってから開示されるのが通例だからだ。このやり方ではアナリストが進行中に思いついた質問を経営陣にぶつけることができず、少なからざる不満が残ることも稀ではない。1時間も前に入手できれば、カンファレンスでの質問の内容はさらに充実する。それは回答するインテルの経営にとっても同様だ。

 インテルは前回、第3四半期決算のカンファレンス・コールでもこうしたCFOコメントを用意した。それだけに、前回に引き続き、今回も事前にCFOコメントがウェブ掲載されるかどうか、それを関係者は注目していたのだ。このときから、経営陣に対するアナリストの質問は1人1問にした。その結果、今回は18人のアナリストが質問に登場した。これは以前の倍の人数 だ。

 インテルの決算発表はこれで終わらない。1月28日に同社のウェブサイトに、このカンファレンス・コールのプレゼンを4分半、質疑応答を6分半にそれぞれまとめた動画ビデオがアップロードされた。前出のIR責任者ケビン・セラーズ氏が自ら登場して語る。この好感度の高い映像は、IR担当者がこれまで以上に、説明する力量を求められる時代を告げている。

◇ライタプロフィール
 米山徹幸(よねやま てつゆき)
大和総研・経営戦略研究所客員研究員。 最近の寄稿に「〜英国、日本、米国〜アニュアルリポートをどのように評価するか」(「月刊エネルギー」2010年3月号)など。「日経マネー」(日経BP)に「個人投資家のための企業IR透視術」を連載中。

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