10月22日、米証券取引委員会(SEC)は投資家教育の専門サイトを立ち上げた。賢い投資、詐欺に引っかからない方法などヒントに満ちた情報が並ぶ。これまでSECのウェブサイトの「投資家情報」に投資家教育に関連した項目があったが、今回専門サイトの開設となった。
専門サイトには、初めての投資、子どもの教育資金や退職プラン、などを考える個人を対象にしたコンテンツも多く、高齢者やその介護者向けには「シニア・ケア・パッケージ」が詳しい。さらに、投資家速報ニュース、投資家教育の教材、退職金をはじめ401kや預金など各種の計算ソフト、そして証券ブローカーのチェックリストにアクセスできる。もちろん、ユーザーフレンドリーを第1に考えたデザインだ。「マネートピア」と題するゲームもあってちょっとうれしくなる。気軽に遊べる 工夫もある。なにごとも楽しくなければ始まらない。
それだけではない。米国内のスペイン語を話す数百万人もの投資家向けにスペイン語版も用意されている。投資に関連する詐欺行為の犠牲者になるのではないか、と思ったら何をするべきかという情報や、SECの歴史や役割をポッドキャスティングで聞くこともできる。もちろんテキスト版もある。立ち上げたばかりのサイトだけに、SECは今後数ヵ月をかけて、コンテンツを充実させる予定だ。
トップページの「ウェルカム動画」で、シャピロSEC委員長が「SECはこのサイトを通じて、公平で事実による投資情報を投資家に用意するものです。」と語るように、SECはどんな投資をするべきかを話すわけにはいかない。しかし、賢い投資を行う方法や詐欺を避ける方法を話すことはできる立場にある。「このサイトでは現在の保有状況を分析したり、登録ファイナンシャル業者のプロファイルをチェックするのに役立つ情報資料も用意しています。」(シャピロSEC委員長)。それだけに、個人投資家にこれほど頼りになる投資情報のレファンレンスもないだろう。
また、このサイトでサインアップして投資家や市場参加者の関心に応じた80あまりのトピックスを選んでおけば、自動的に関連する情報がEメールで届く。さらに、SECはツイッターなどのソーシャルメディアも活用している。SECがツイッターに用意したのは、「投資家情報」や「ニュースリリース」、「強制捜査」や「SECの求人情報」で、これほど気軽に情報が入手できるとは――。
個人投資家の擁護者としての役割を自覚するSECの敏感なウェブ感覚が伝わっ てくる。
◇ライタプロフィール
米山徹幸(よねやま てつゆき)
大和総研・経営戦略研究所客員研究員。最近の論文に「〜アナリストブログ、スライドシェア、ツイッタ〜IR担当者は共有サイトを活用する」(「広報会議」09年12月号)、「直近IRのグローバル・トレンドを探る」(「月刊エネルギー」09年11月号)など。先ごろ、日本アドバタイザーズ協会・WEB広告研究会の第7回Webクリエーション・アウォードで「WEB仕事人」に選ばれる。
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