もちろん、いまだ実績のないカテゴリを活性化しようとすることにはリスクがある。しかしそれもAppleのやり方の一部だ。同社は、モバイルコンピュータとメディア業界に対するビジョンを持っており、自身の能力を大いに信じている。
そのことは同社の製造と設計にまで及んでいる。Appleは、iPadを作るのに外部の供給元に頼ることがほとんどできないような立場に、自らを置いた。加えて、ユーザーがiPadに求めるコンテンツはどんなものでも、わずかな例外はあるが、Appleを仲介者として通さなければならない。
今から振り返って見れば、このようなことは数年前から見られていた。Appleは「MacBook」の新しい製造方法を求め、1つのアルミニウムブロックから削りだすという製造工程に行き着いた。また、独自のチップを作りたいと考え、P.A. Semiを買収して「A4」チップを作り出し、それによって、特にIntelを考慮の外に置いた。さらに、独自のバッテリ技術を採用しており、ビデオ表示の応答速度が速く視野角の広い画面のためのIn-Plane Switching(IPS)LCD技術も用いている。そして、このデバイス用のすべてのコンテンツは、「iBooks」、iTunes、「App Store」というAppleのオンライン小売り店舗のいずれかを経由しなければならない。それに加えて、3Gワイヤレスプランの魅力的な話(AT&T、契約なし、月極め)を考えれば、Appleは明らかにAT&Tに条件を指図している。
「iBookstore」の登場によって、iTunesにとってパズルの最後のピースがぴたりとはまる。音楽、映画、テレビ番組、オーディオブック、ポッドキャスト、ゲーム、アプリ、そして「iTunes U」の教材とくれば、欠けていたのは書籍だけだ。確かに、新聞や雑誌のコンテンツは27日のプレゼンテーションの中でほとんど触れられなかったが、これについては、まだ舞台裏で進行している最中で、後にiBooksサイトに加えられることが考えられる。
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