それでは、十分な数のユーザーが、自分たちの検索行動を変えて、Microsoftの検索市場シェアを劇的に拡大させるほど、そうしたコンテンツに興味を抱くだろうか。News Corp.が単独で大きな影響を与えるとは考えにくい。しかし、一定の成果があがれば、Microsoftはそれに励まされて、ほかのニュース企業と同様の契約を締結し、「世界のニュース検索エンジン」としての「Bing 2.0」という考えに向けて前進するかもしれない。実現すれば、興味深い成果になるだろう。
しかし、ほかのすべてのことと同様に、そうした契約が実現するかどうかは、Microsoftがそのようなプロジェクトにいくら投資する用意があるかにかかっているだろう。Bingを運営するMicrosoftのオンラインサービス部門は現在、第1四半期だけで4億8000万ドルという多額の損失を出している。メディア業界とコンテンツ契約を結ぶことは、検索市場シェアの拡大という形で投資が報われる時期がはっきりしない以上、短期的なコストを増大させるだろう。Microsoftは「Windows」や「Office」による利益から資金を引き出し続けているが、それをいつまでも湯水のように使うことはできない。
これが意味することは、今回の一件のすべてはNews Corp.を中心に動いている可能性が高いということだ。同社は、2010年6月に満了するGoogleとの現行の契約に代わる検索およびテクノロジサービス契約について、Microsoftと交渉している。News Corp.傘下のサイト群に検索プロバイダーとしてBingを導入すれば、Microsoftの検索は増加し、それと同時に、広範な影響を及ぼす大規模な戦いを始めることなく、両社共通の敵であるGoogleの売り上げを少し減らすことができるだろう。
Murdoch氏はこれまでのところ、オフライン世界で享受していた利益をインターネット上で再現できずにいる従来型メディア業界の大きな不満を利用することに成功している。しかし、同氏は本当にGoogleに挑戦したいと思っているのだろうか。
もしそう思っているのであれば、同氏が頼りにしている考えは、基本的なニュースはコモディティだが、専門的意見や分析はそうではないというものだ。そして、News Corp.が所有するサイトについてどう考えるにせよ、それらのサイトが意見や分析のユニークな発信源としての評判を得ていないと主張することは難しい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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