ドワンゴは11月13日、2009年9月期の連結決算、および2010年9月期の業績見通しについて発表した。懸案となっているニコニコ動画の単月黒字化については、2010年9月期の下期に達成する計画とした。
2009年9月期の連結決算については、売上高が前期比6.4%増の265億6800万円、営業利益は同243.8%増の3億9700万円、経常利益は同217.6%増の3億4200万円、純損益は赤字幅が15億1600万円縮小して7億8200万円の赤字となっている。ゲーム事業とニコニコ動画を含むポータル事業の売り上げが当初目標に達しなかったものの、着うたフルなどのモバイル事業が好調だった。また、ニコニコ動画については事業資産の減損による特別損失を11億4800万円計上している。
ポータル事業については、当初15億4200万円の売り上げを見込んでいた広告収入が、景気低迷の影響もあり8億1400万円にとどまったことが響いた。また、ユーザーがネット上で生放送したり、生番組を視聴できたりする「ニコニコ生放送」が当初想定していたよりも人気となり、配信サーバやコンテンツ制作費にコストがかかったことも経費を増やす要因になった。
ポータル事業における経費を売上高比でみると、回線やサーバなどの設備費が50%、人件費が30%、生放送番組の制作を含む外注費が40%とのこと。
ただしニコニコ生放送は有料会員の増加に大きく寄与しているといい、有料会員収入は当初予想18億4400万円だったものが、20億7500万円となった。なお、有料会員数は月間4万人ベースで増加しており、10月末時点で55万人。新規有料会員の8割はモバイル経由とのことだ。また、全体の登録者数は1461万人で、月間35万人ペースで増加している。
ドワンゴによると、ニコニコ生放送の平均利用状況は1日2898万PV、1日訪問者数は14万人、1訪問あたりの平均滞在時間は87.4分。ニコニコ動画全体の1訪問あたり平均滞在時間(37.2分)の倍以上であることをから、「今後、ニコニコ生放送の広告化を考えていく上で大きなプラス材料だ」(ドワンゴ取締役の夏野剛氏)としている。
2010年9月期については、広告収入とアフィリエイト収入は横ばいとなるものの、有料会員収入とポイントなどの収入が増えることで黒字化を達成できると見ている。ポイントの売り上げについては、2010年春をめどに新サービスを投入することで拡大を図る。
ニコニコ動画は当初、2008年9月期中の単月黒字化を見込んでいた。しかし回線費用などの投資が先行し、いまだに利益貢献には至っていない。ただし夏野氏は、「ネットサービスの世界では、世界展開しているものが生き残るようになっている。ニコニコ動画の世界展開を考えると単独では難しく、(現地パートナーと)アライアンスを組む必要がある。世界的に動画サービスの収益化が難しいなかで、ニコニコ動画は収益性があると示すことが世界展開する上での絶対条件になる。ニコニコ動画の成長戦略を考えると、2010年9月期には黒字化をしなくてはならない」と強い決意を示した。
2010年9月期の通期業績見通しは、売上高が前期比17.4%増の312億円、営業利益が同51.1%増の6億円、経常利益が同75.3%増の6億円、純利益は12億3200万円改善し45億円の黒字としている。
2009年9月期 | 2009年10月期(計画) | |
---|---|---|
プレミアム会員収入 | 20億7500万円 | 45億8100万円 |
広告収入 | 8億1400万円 | 9億6100万円 |
アフィリエイト収入 | 1億9100万円 | 1億8000万円 |
ポイント・その他収入 | 7400万円 | 2億1200万円 |
合計 | 31億5500万円 | 59億3500万円 |
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