Nokiaは、携帯電話に関連して保有していると主張する10件の特許を侵害したとして、Appleを提訴した。
世界最大の携帯電話メーカーNokiaは米国時間10月22日、「iPhone」のメーカーであるAppleが問題となっている特許のライセンス料支払いに応じようとしなかったとして、今回の提訴に踏み切ったことを声明で明らかにした。Nokiaは、2007年に発表された初代機から現在に至るまでの全モデルのiPhoneが特許を侵害していると主張している。Nokiaは、iPhoneの販売差し止めおよび不特定の損害賠償を求めて、米国デラウェア州の米連邦地方裁判所に訴状を提出した。
Nokiaの法務および知的財産部門のバイスプレジデントであるIlkka Rahnasto氏は「モバイル業界における基本原則とは、標準を確立するために技術開発で貢献した企業が知的財産権を有し、その利用の対価を他の企業は支払わねばならないという点にある。Appleも、この原則に従うことが求められる。Nokiaの知的財産の利用に対する適切な支払いに応じるのを拒むことで、Appleは、Nokiaの革新的な技術にただ乗りしようとしている」と語った。
Nokiaの広報担当であるMark Durrant氏によると、すでに同社は「大半の主要な携帯電話メーカー」をも含む他の40社に上る企業と、問題になっている特許に関するライセンス契約を結ぶに至ったという。これまでAppleは協力を拒否する姿勢を示してきたため、「最後の手段として」今回の訴訟を起こすことになったとされている。Durrant氏は、両社が「一定の期間に及ぶ」交渉を進めようとしたことも明らかにしている。
Nokiaは、携帯電話技術に関連した研究開発に600億ドル以上を費やしてきたと述べている。Appleが侵害したと主張する10件の特許は、GSM、3G、Wi-Fiネットワークに対応した携帯電話の製造に関連があるという。Nokiaによれば、問題となっている特許には、無線データ、音声符号化、セキュリティ、暗号化に関するものが含まれているようだ。
この件に関してAppleにコメントを求めたものの、すぐには回答が得られなかった。
USB、コンセント、ビデオゲームのコントローラなど、あらゆる頭に浮かぶ技術には、標準化への合意が存在している。標準化団体の助けなども得ながら、問題となっている技術を活用して製品の製造を手がける複数の企業が、この合意に至っている。どの特許技術が最も優れているのかを共に協議して、標準化団体に属する他の企業が道理にかなった額で特許技術をライセンス使用できるように事前に合意することになる。
Nokiaは実社名を明らかにしようとはしなかったが、いくつか他の少数の企業と共に、AppleがNokiaの保有する10件の特許のライセンスを取得していないと述べた。Nokiaは、あらゆるGSM、3G、Wi-Fiネットワークに対応した携帯電話に、同特許技術のライセンスが求められると主張している。
法的立会人やNokiaをよく知る人たちの一般的な認識としては、iPhoneの販売差し止めを求めて裁判所に訴状が提出されたものの、実際にはiPhoneを永久に市場から締め出すことが目指されているのではない。このような訴訟では、販売差し止めが有力な手段として活用され、Nokiaとしては、Appleに対して公正なる対価の支払いを求めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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