ソニーがネット事業に参入した理由--ライフログサービス「Life-X」1年を振り返る - (page 3)

加納恵(編集部)2009年08月24日 18時09分

ソニーらしい感動を作り出す

――実際にお二人はどのようにLife-Xを活用されていますか。

湯原:約50人のフレンドと情報を共有していますが、基本的にすべて知人です。家族もいれば会社の人もいて、それぞれに対して共有アルバムを分けています。

 社内の人間と利用している仕事用のアルバムでは、ブラビアポストカードが紹介されたウェブサイトをクリップしておいたり、そこに誰かがコメントをつけたりして、共有しているみんなで関連情報をアップデートしています。一方で結婚式に出席すれば、出席者それぞれが撮影した写真や動画を1つの共有アルバムに入れることで、1カ所にまとめて新郎新婦にあげられる。まとめたものは、メモリースティックにコピーしてデジタルフォトフレームに写真を入れてプレゼントしてもいいし、コメントをつけて特別な人だけにシェアしてもいい。こんな風に仕事とプライベートを両立して使えていますね。

北川:20人ほどフレンドがいますが全員かなり親しい友人です。ですから共有アルバムもかなりオープンに使っているんですが、誰にでも見せていいものと、フレンド登録している人にしか見せられるものの2通りのアルバムを用意しているんです。

 誰にでも見せていいアルバムは、公開機能を使ってブログパーツとして紹介してもらってもいい。フレンド以外の人にも見せたいアルバムということなんです。テーマごとに分けるのはではなくて、表に出すか、出さないかという線引きをアルバムごとにしています。

――Life-Xを使うようになって生活は変わりましたか?

湯原:写真を撮るようになりましたね。特に目的はなくても感動した風景や気になる事など、こまめに撮影しています。家族がBRAVIAを持っているので、すぐに送れるのも楽しいですね。そうしたライフログを自然にとれるようになったのが、一番大きく変わったことです。感動のログみたいなものを残しておきやすくなりました。

北川:写真をアップしたり、アップされたのを見たり、コメントを残したりしていると、友人と毎日会っているような感覚になるんですよ。だから最初は会う頻度が減るんじゃないかと心配していた面もあったんですが、逆で会う機会は確実に増えている。誰かが食事の画像をアップすれば、ここに食べにいこうよとか約束もしやすい。

 またブログって書いたときにコメントがないと傷ついたりしますけど、そういうストレスも少ない(笑)。ゆるいコミュニケーションができるんですよね。

――ハードウェアとも、ウェブサービスとも連携できる。今までありそうでなかったウェブサービスがLife-Xとしてリリースされた最大の要因というのは。

湯原:コンセプト自体はそんなに目新しいものではなく、もう15年前くらいからみんなが考えていたことだと思うんです。ただ考えているだけではなくて、実際にリリースできた背景には、ネットの環境がここ10年くらいで急速に現実味を帯びて整備されてきたこと、そしてマネジメント陣の理解があったからこそだと思います。

 当時社長だった宮下(次衛氏)、現社長の栗田、ソニースタイル・ジャパンの当時社長だった杉山(博高氏)が、後押ししてくれたことは大きかったですね。

――今後の拡大施策を教えてください。

湯原:〈ブラビア〉ポストカードのような、コト軸の楽しみをもっと強化していきたいです。ハードがネットにつながったというだけでは、ソニーらしい感動は作りにくい。ハードとネットをつなぐ部分に、楽しみを付加するサービスを自社で手がけていくからこそできることが必ずあると思います。

 そうしたつながった先の楽しみをきちんと見せることで「こんな感動があるんだ」という提案ができるのではないかと。実は、Life-Xにユーザーが預けているコンテンツ数は現時点で100万近くあるんですね。この1年で、ライフログサービス、一元管理サービスというニーズは確実にあるんだなということがわかりました。

北川:賛否両論どちらもユーザーの声をきちんとサービスに落としこんでいこうと思っています。前回のリニューアルで当初の80点くらいはカバーしたかなと思っていたのもつかの間、新しい意見をどんどんいただいて、100点はまた遠のいてしまった(笑)。でもどんなご意見も真摯に受け止めて、永遠に改善していくことで、Life-Xはブラッシュアップしていけるのだと思います。

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