ソニーがネット事業に参入した理由--ライフログサービス「Life-X」1年を振り返る

加納恵(編集部)2009年08月24日 18時09分

 ソニーマーケティングが2008年11月に正式スタートさせた「Life-X」は、写真や動画、ニュースクリップをウェブ上に保存し、友人と共有できるウェブ上のライフログサービスだ。

 「友人とコンテンツを共有できる」と聞くと、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)と同様に感じられるが、Life-Xにはソニーが考える「新しい付加価値」が数多く取り入れられている。

 テレビ、ゲーム機、パソコンと数多くの情報家電を開発・販売するソニーが生み出したネットサービスは、情報家電をどう変えていくのか?また、SNSとは異なる新しい付加価値とは何か?をソニーマーケティングインテグレーテッドビジネス推進部のビジネスプランニングマネジャー 湯原真司氏とマーケティングプロデューサー 北川英氏に伺った。

パーソナルコンテンツのプラットホーム的役割を果たす

――ベータ版を含めるとサービススタートから約1年が経過しましたが、この1年を振り返っていかがでしたか?

湯原:スタート当初はとにかく課題が多かったですね。ユーザーインターフェースの作りからレスポンスの速度まで、修正すべき部分がたくさんありました。同時にLife-Xのコンセプトともいうべきハードウェアとの連携も発展が必要と考えました。

 Life-Xは、液晶テレビ「BRAVIA」やゲーム機「PLAYSTATION 3」(PS3)、「プレイステーション・ポータブル」(PSP)といったハードウェアとつながることが“売り”なのですが、当初はつながっているというだけではなく、つながってこそ生まれる楽しさがもっと必要だと。この部分をもっと強化していかなくては、という思いが強かったですね。

――パソコンや携帯電話以外のハードからアクセスできるのはLife-Xならではの機能ですが、このコンセプトが生まれた背景というのは?

インテグレーテッドビジネス推進部新規事業推進1課ビジネスプランニングマネジャー 湯原真司氏 インテグレーテッドビジネス推進部新規事業推進1課
ビジネスプランニングマネジャー
湯原真司氏

湯原:Life-Xのプロジェクト自体はベータ版が立ち上がる1年半ほど前、2007年の夏頃にスタートしました。その時点で「ソニー製品がネットとつながってどういうことができるか」を考えていました。逆にネット接続を考えなければ次のステップというか新しい付加価値作りはもうないのかもしれない、と思っていたんですね。

 2008年6月には、会長兼社長CEOのハワード・ストリンガーが「ソニー製品の9割がネット対応になる」との中期計画を発表。では、9割の製品がネット対応になったときに、ソニー製品がより魅力的になるようにネット側からはどういった取り組みをしていけばいいのか、という思いがLife-Xの出発点になっています。

 ネット側からの取り組みには大きく2つあって、1つはプレミアムコンテンツを持つことです。具体的にはプレイステーションネットワークに代表されるような動画配信や音楽配信がこれにあたります。そしてもう1つがパーソナルコンテンツを掘り下げていくことだろうと。自分が撮影した動画や写真、書いた日記など、個人にひも付いたコンテンツをネットを使って楽しむ方法がもっとあるのではないかと。Life-Xではそこを突き詰めていこうと思いました。

――パーソナルコンテンツをネット上で楽しむサービスは、mixiやFacebookなど先行しているものもありましたが。

湯原:SNSやフォトシェアリングサービスと競合するつもりは全くなくて、そうした個々のサービスが大きくなっていくと、PCや携帯電話以外の機器からも利用したいというニーズが高まるだろうと見ていました。そのため、Life-XにはFlickrやはてなブックマーク、Twitterといったウェブサービスとの連携機能を備えています。そうした連携を通じて、パーソナルコンテンツのプラットホーム的役割を果たすものが必要になるだろうと当時から確信していました。

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