圧倒的優位にある「Microsoft Windows」に挑戦するOSは、Googleの「Google Chrome OS」が初めてというわけではない。しかしChrome OSには、Linuxなどのほかの競合製品にはない、ウェブという利点がある。
新しいOSは何であれ、そのOSを有用なものにするアプリケーションを作る開発者たちを引き付けなければならない。これまでWindowsに挑戦してきた競合OSにとっての苦労は、すでにWindowsで利用できるソフトウェアの幅広さに対抗することだった。
そのようなソフトウェアには、「Microsoft Office」「Quicken」「Adobe Photoshop」や、ゲームなどメインストリームの製品もあるが、系図作成などのよりせまいニッチ向けのプログラムも無数にある。いくつかの必要なアプリケーションがあれば満足だという人もいるが、OSが広く一般に普及するには幅広いアプリケーションをサポートする必要がある。
CanonicalによるLinuxの「Ubuntu」バージョンは、デスクトップOSとして大いに話題になっているが、米国の納税申告の時期が来ても、そのためのソフトウェア「TurboTax」はUbuntu上では動作しない。世界中で必要とされているソフトウェアのすべてについてこのようなことが起こると考えると、Windowsの現在の優位性はいっそう明らかだ。
Chrome OSも、ほかのすべてのOSと同じアプリケーションの課題に直面しているが、その課題に違ったやり方で対処しようとしている。Chrome OSには、Linuxの簡易バージョン上で動作する「Google Chrome」ブラウザが付属するが、各種アプリケーションはLinux上で実行されるのではなく、インターネット上で実行される。Chromeはウェブアプリケーションへの接続ルートとして機能し、Chrome OSはGoogleがネットブックにChromeブラウザをインストールするための手段であり、これを2010年下半期から開始すると同社は述べている。
Googleのプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントであるSundar Pichai氏とエンジニアリングディレクターであるLinus Upson氏は米国時間7月7日、Chrome OSを発表したブログで、「アプリケーション開発者にとって、ウェブがプラットフォームとなる」と語っている。
このことはGoogleにいくつかの現実的な優位性をもたらす。今やWindowsを使っているすべての人を含め、誰もがすでにウェブを使っている。ユーザーの生活にウェブアプリケーションを加える方が、突然WindowsからLinuxや「Mac OS X」に切り替えるよりはるかに緩やかな移行だ。
ウェブアプリケーションを作成するプログラマーは、Windows、そしてMac OS X、Linuxを使うあらゆるユーザーを、さらにいえば多くの先進的な携帯電話を使うユーザーまでも対象とすることができる。
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