最初に前回のおさらいをしておきましょう。スタート当初の携帯電話の絵文字には、キャリア間でメールのやり取りの中で文字化けしてしまう欠点があったこと、それを解決する仕組みをキャリア各社が作ったものの、その場しのぎの欠点の多いものであったこと、そして絵文字のUnicode符号化というのはそうした欠点を一挙に解決するはずであること。ついでにGoogleが絵文字のUnicode符号化を進めることで、キャリア各社は今まで自分たちが育ててきた絵文字の主導権を奪われてしまうということも。
それから前回の最後では、キャリア各社に対してGoogleの提案についてどう思うか、パブリックレビューに参加する意向があるかを聞いてみました。そこでの回答は、各社そろって消極的と受け取れるものでした。
ところが前回の掲載後に、NTTドコモがGoogleの絵文字メーリングリストに投稿していることを読者の方が教えてくださいました。この1月14日付メッセージです。詳しくは次回で触れることになりますが、このメーリングリストはGoogleが絵文字符号化プロジェクトについてオープンな意見交換をするために開設したものです。このメッセージの内容は以下の3点にまとめられるでしょうか。
さらに調べてみると、約2週間後の1月31日にNTTドコモは具体的な問題点を指摘するコメントを送っていることがわかりました。このような内容です。じつは前回紹介した主要3キャリアの回答が寄せられたのは、去年末のことでした。そこでのNTTドコモの回答は「未定」というものでしたが、私が原稿をなかなか書けなくてグズグズしているうちに、同社は一定の関与をすることを決定、Googleとコンタクトをとっていたことになります。他方でKDDI、ソフトバンクの2社はGoogleと連絡した形跡が見られないことと対比すると、NTTドコモの積極性は際だっています。前回の原稿を読んで同社の姿勢について読者の皆さんに誤解を与えたとすれば、それはひとえに私の責任です。NTTドコモならびに読者の皆さんにお詫びしたいと思います。
さて、では肝心のGoogleはどのように考えているのでしょう? メールで質問してみたので、今回はその回答を掲載するところから始めましょう。念のため、回答は1月22日付け、つまり前記NTTドコモの1月14日付メッセージの後、1月31日付コメントの前であることを申し添えます。 <
回答:まずは絵文字のインターオペラビリティ(編集部註:相互運用性)を確保することです。絵文字がUnicodeに含まれれば、現在は日本の携帯電話だけでしか利用できない絵文字が、世界中のさまざまなデバイスでも利用できるようになる可能性があります。また、現在はキャリア間で行っている絵文字変換の処理が不要になるなど、ユーザーや開発者がより便利に絵文字を利用することができるようになります。これによって、絵文字に関連した開発が容易になり、そこから次の展開が考えられると思います。いろいろと可能性はありますが、それは絵文字の開発・提供に関わっている人や会社の創造力にかかっていると思います。
回答:ごく少数の商用のロゴなどを除いて、現在文字コードでデータ交換をしている絵文字の全てを符号化して、実際に使えるセットを作り上げることが最も大きな障壁です。さまざまな関係者から出るであろう反論などを解決して、当初の絵文字セットをすべて符号化する必要があります。日本の絵文字コミュニティーからのサポートは非常に大事だと考えております。
回答:順調に行けばUnicodeバージョン6に収録されることになりますが、これは恐らく2010年になると思います。実装に使い始めるのはその前でも可能になるかと思います。
回答:本プロジェクトについては日本のキャリア各社にもお知らせしています。オープンなプロジェクトであるため、キャリア各社のみならずさまざまな方からフィードバックを頂いています。
回答:本プロジェクトに関してさまざまな方からフィードバックを頂き、絵文字に対して多くの方が強い興味を持っていらっしゃることを改めて感じております。絵文字のUnicode符号化提案に関してはさまざまな意見があります。絵文字の文字としての存在を支持したくない方も中にはいます。しかしながら、日本の携帯絵文字の事情をよく知っていて、本プロジェクトに賛成しこれを支持される方も多くいらっしゃいます。このような状況で、日本の皆様からのさらなる賛同を頂けると、本プロジェクトを進める上での強力なサポートになると思っています。
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