IntelおよびTaiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)は米国時間3月2日、「Atom」チップの製造分野で提携することを発表した。
Intelはこのたびの提携により、現時点では進出が遅れているもののTSMCはシェアを確保している、スマートフォン市場のような大きなマーケットを視野に入れたい意向だ。IntelのシニアバイスプレジデントであるAnand Chandrashekar氏は、2日の両社の共同記者会見の席上で、「すでにわれわれの多くの顧客が、TSMCの提供する知的財産インフラストラクチャを持っており、Atomベースの製品が増えるにつれて、それを活用したいと期待している。これこそが、今回の提携で、基本的に目指しているものである」と述べた。Atomは現在、ネットブックで最も広く採用されている。
Atomチップは、ハンドヘルドデバイス、ネットブック、家電製品などの幅広いエンドユーザー向け製品に適していると、Chandrashekar氏は語っている。
同氏は「今回の提携により、TSMCベースのAtomや、新市場セグメントにおけるTSMCとIntelの共同進出が可能になる」と述べている。
このたびの提携の下、Intelは、AtomプロセッサのCPUコアを、プロセスや知的財産、ライブラリ、設計フローなどTSMCの技術プラットフォームに対応する予定である。しかしながら、TSMCが、AtomチップをTSMCブランドで販売することはない。TSMCは、単にAtom関連のシリコン製造を手がけるのみであると、同社幹部が2日に語った。今回の提携で誕生する新製品は、すべてIntelのブランドで提供されることになる予定。
自社でチップ製造まで進められることを、常に誇りにしてきたIntelが、チップ製造分野で、他のメーカーと提携するのは異例である。とはいえ、これまでにもIntelが、特定のシリコン製造を外部のメーカーに委託してきた事実を考慮すれば、今回の提携には、前例がないわけではない。TSMCは、世界最大の契約ベースのチップメーカーである。
「Moorestown」というコードネームの2009年後半もしくは2010年前半に登場予定である次世代Atomプロセッサは、プロセッサ、グラフィックス、メモリコントローラ、ビデオエンコード/デコードを、単一のチップパッケージに統合したシステムオンチップ(SoC)で提供される予定である。搭載されるチップは、ワイヤレス通信、ストレージ、I/O(入出力)機能を備えるものとなる。
TSMCはすでに、QualcommやTexas Instrumentsなどの企業向けに、SoCの製造を手がけてきた。
Intelが目指しているのは、同社のx86アーキテクチャがベースとなる、MoorestownのSoCが次世代携帯電話に組み入れられることである。このほどIntelは、LG Electronicsと提携を結び、LG製の次世代スマートフォンには、IntelのMoorestownプロセッサが採用されることが発表された。
Intelにとって挑戦となるのは、QualcommやTexas Instrumentsなど、これまで長年に渡って、携帯電話向けシリコンのサブライヤーとなってきた企業が提供するシリコンの省電力性能に対抗可能なものの提供が求められている点である。最近になって、東芝は、Qualcommの「Snapdragon」チップを、同社の次世代携帯電話に採用する計画を明らかにしており、Qualcommは、Googleの「Android」OSを採用する初の携帯電話向けメインプロセッサを提供してきた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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