絵文字が開いてしまった「パンドラの箱」第1回--日本の携帯電話キャリアが選んだ道 - (page 3)

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欠点が多い絵文字の変換サービス

 相互運用性の問題については、2006年にキャリア各社は解決策を打ち出します。それが「絵文字変換機能」(NTTドコモ)、「絵文字互換サービス」(KDDI)、「絵文字自動変換機能」(ソフトバンク)と呼ばれるサービスです。これはあらかじめ特定のキャリアとの間で同じ絵文字同士を対応させる変換表を作成し、これを使って自動的に利用者の端末に合わせた絵文字に変換するサービスです。しかしこの方式では、変換表は相手の数だけ専用のものを用意しなければなりません(図4)。

図4 2006年に開始された絵文字変換サービス。変換先を増やそうとすると非常に複雑なことになってしまう 図4 2006年に開始された絵文字変換サービス。変換先を増やそうとすると非常に複雑なことになってしまう(※画像をクリックすると拡大します)

 これがどういう意味を持つのか、2007年にこの問題について調査し「ケータイの絵文字と文字コード」という論文にまとめた安岡孝一准教授(京都大学)は、以下のように述べています。

 最悪の対応方法に走ってしまった、というのが、文字コード専門家としての筆者のいつわらざる感想である。

 この方法では、会社の数が増えれば、その2乗の数の対応表が必要となる。しかも、相互互換性がまったく保証されない。本来、このような変換をする場合には、中心となる仮想的な文字コードを1つ定めて、その中心的文字コードに対する自社文字コードの対応表を各社1つだけ準備する、というやり方をすべきである。そうすれば、その中心的文字コードとUnicodeの対応表を準備することで、インターネットとの接続にも流用できたはずなのである。

 しかし、ケータイ各社は、自社から他社絵文字への変換、という道を選んでしまった。これは、後戻りがきかない選択であり、今後多くの禍根を残すことだろう。しかも、こういう方法が取れるのはメールだけで、電子掲示板やブログのような多対多の情報交換には、まったく不適当である。「ケータイの絵文字と文字コード」(『情報管理』科学技術振興機構、2007年5月号、p.71)

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