IPTVについて、ほとんどの人はストリーミングこそ今後の進路と考えているが、Cerf氏は納得していない。「わたしは今でも、インターネットへのアクセス速度が増していくにつれて、ダウンロードして再生することが同じくらい簡単に、もしかするともっと便利になるかもしれないと考えている」(Cerf氏)
Cerf氏はビデオとオーディオを比較して、音楽の場合、「iPod」に曲をダウンロードしている最中に聴くのではなく、曲を保存してから自分が好きな時に再生していると指摘する。
このことは、YouTubeが最近発表した、同サイトからのダウンロードの実現可能性をテストするという内容を、ある程度説明しているかもしれない。旧来のテレビ視聴スタイルがベースとしている、放送中に視聴するというスタイルに縛り付けられるのではなく、現在では、映像を保存して後で再生することができ、テレビ媒体に特有の束縛を取り去ることが可能だ。現在は「タイムシフト」が可能なのだとCerf氏は言う。
しかし、同氏は別の可能性も探究している。旧態依然のテレビ広告は侵略的であり、その戦術はもう古い。コマーシャルは、視聴者がチャンネルを変えずに見続けるという希望の下に、番組の大切な瞬間に差し込まれる。Cerf氏はこの戦術はうっとうしいものだと考える。
「Googleが広告について学んだことは、人々はある情報に本当に興味を持っていれば、その情報をうるさい広告として扱わないということだ」とCerf氏は言う。
「検索エンジンの世界において、われわれはユーザーが見るか見ないかを選択できる広告情報を提供している。さらに、実際にユーザーが広告を見ることを選ばない限り、広告主に課金していない。われわれはコンシューマーの手に広告のコントロールを取り戻した。ビデオの世界でも同じことができるはずだ」(Cerf氏)
同氏が警告する例を使用することは、「技術的に今すぐ実用にかなったもの」ではないかもしれないが、より賢い、コンシューマーと広告主をより考慮したプロダクトプレイスメント手法の可能性について語った。
「画像を高度に反応させることが可能になり、その画像を見た人が興味を持った場合、クリックできるようになったとしたら、どんなことが起こるだろうか」とCerf氏は問う。さらにこの理論的概念を進め、次のように述べた。「たぶんその時点でビデオエンターテインメントが停止し、こんなウィンドウが立ち上がるかもしれない。『こんにちは。画面に映っていた小さなMacintoshに興味をお持ちのようですね。これはMacBook Proです。今はオンラインに接続中ですね。6ブロック先のApple Storeには、このMacBook Proの在庫が6台あります。ここでお買い上げになりますか?』」
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