iPhone3Gの発売や携帯端末向けマルチメディア放送の動向などを紹介している間に、モバイルコンテンツ業界恒例の市場規模調査の結果が総務省ならびにモバイル・コンテンツ・フォーラムから7月18日に発表されました。
07年の市場規模は、1兆1464億円(前年比123%)となり、他のコンテンツ産業が苦戦する中、モバイルコンテンツ産業は右肩上がりで成長しています。
携帯電話の普及契約数は緩やかな伸びに落ち着き、大手コンテンツプロバイダーの業績が思わしくないなどと、あまり良い状況にはみえないですが、コンテンツが多角化したことによってマクロ的に市場が拡大しているとのことです。
1兆円市場の内訳は、コンテンツ部門が4233億円(前年比116%)、コマース部門が7231億円(129%)となっています。1年前にも本稿で紹介しましたが、コンテンツ部門とはキャリアの公式サイト内で購入された情報料のことです。
コマース部門は携帯電話のブラウザ上で予約・購入した物販やサービス、そして株取引や競馬などの公営競技の手数料収入となっています。ちなみに通話で購入したものは含みません。
コンテンツ部門の内訳は、着メロ、着うたフル、リングバックトーンなどの着信音系が1720億円(シェア40.6%)で部門の中で最も大きく、次いでゲーム系が848億円(シェア20%)となっています。
着信音系とゲームで6割のシェアを占めています。そのほか新しいコンテンツとして伸びているのが電子書籍系で221億円(前年比320%)と老舗の待受系(227億円)に迫る市場規模に成長しています。
今後は、着せ替え系といわれる待受画面に加え、メニュー、電池残量などのアイコン・文字フォント等の設定がカスタマイズできるコンテンツが注目を集めているようです。
コンテンツ部門はそろそろ頭打ちではないかといわれていましたが、コンテンツの裾野が拡大していること、パケット定額制が定着してきたことがまだ伸びを牽引しているとみられています。
携帯電話の小さな画面をみて購入しないだろうとみられていたコマース部門が7000億円を突破したことで、この分野は益々注目されています。
内訳は物販系が3292億円(前年比127%)となり、すでに通信販売市場全体(3兆8800億円)の8.5%に達しています。興行チケットや交通チケットの購入などのサービス系は2708億円(前年比140%)で、特に交通チケットの利用が増加しているそうです。
株取引や公営競技、オークションなどの手数料を集計したトランザクション系は1231億円(111%)で、他の分野に比べて伸び率は低くなっていますが、証券市場、公営競技市場に引きずられる形になったようです。
ただ、その中でも携帯電話を利用した取引は大きく伸びているとのことです。
携帯電話のブラウザ上でのコンテンツ流通市場が1兆円を超えたことは、世界に類をみない出来事です。モバイルコンテンツは日本の誇れるビジネスモデルといえるのではないでしょうか。
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