インターネットサイト、特に青少年の間では携帯電話サイトを媒介した事件、事故が起きていると喧伝されています。出会い系サイトで知り合って事件に巻き込まれた、いわゆる学校裏サイトと呼ばれるところでのいじめなど、ネットワーク上での子どもの安全・安心がニュースとして報じられることが多くなっているようです。
本コラムでもそうした問題を少しでも解決するために、携帯電話サイトの業界団体が第三者機関を設立し、自主的に業界健全化を図っていこうとする取組みについて何度か紹介しました。
その団体が4月8日に「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(略称:EMA)」として正式に設立されました。ここでは違法、有害なサイトと健全なサイトが同じカテゴリで一律にフィルタリングがかかっているモバイルサイトの状況を解消するために、サイトの認定基準を客観的に作り、申請されたサイトを審査認定後、運用監視を行うことで健全なサイトをフィルタリングから解除させるという仕組みが採られています。またインターネットサイトの健全な利用の仕方を親子に教育するプロジェクトも盛り込まれています。
未成年が対象ということもあり、携帯サイトに議論が集中していましたが、今後は本丸であるインターネットサイトに論点は移っていくことでしょう。インターネットサイトについては社団法人デジタルメディア協会(AMD)が4年前からレイティングおよびフィルタリングについて研究をしていました。モバイルに先を越される形となりましたが、4月25日に第三者機関「インターネット・コンテンツ審査監視機構(I-ROI)」を設立しました。
モバイル、インターネット業界は、共に国の関与ではなく民間主導で健全化を図っていこうと努力しています。それには政府、各党の「違法・有害情報対策」に関する動きが大きく影響しています。
自民党の内閣部会・青少年特別委員会(通称:高市委員会)では、国が有害情報を規定し閲覧の防止を法制化する動きが活発化しています。総務部会、経済産業部会でも重要課題として関心が持たれているようです(ただし高市案とは異なり国の関与は最小限と考えられている)。一方、民主党でも法案作りに前向きな議員もおり、超党派で法案提出を模索しているといわれています。
国が法制化するということは、表現の自由や通信の秘密に係わる権利の問題が懸念されます。
通信も放送もインターネットも同じ土俵に乗る未来のユビキタス、メディアボーダレス時代に向けて、国がサービスの中身に関与する契機となりかねない法案が通ることが、今後ビジネス環境にどんな影響を及ぼすかを真剣に考えなくてはならないでしょう。
最近では「携帯電話を未成年に持たせるべきではない」、法制化しようと考えているグループもあるようです。
何度もいいますが、青少年へ安全・安心を与えることが第一です。さらに違法な情報は取り締まられなくてはならないでしょう。しかし既に生まれた時から携帯電話があり、多くの子どもが利用しているツールを単に取り上げることが子どもの健全育成化に直結するのでしょうか。モラルのなくなってしまった社会には規制しかないのでしょうか。難しい問題ですね。皆で考えなくてはいけないと思います。
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