7月11日、ソフトバンクモバイルから話題のiPhoneが発売となります。日本の多くのアナリストはNTTドコモ(以下ドコモ)から発売されるのではないかと予想していました。その理由として、初代(07年6月米国発売)のiPhoneは、その地域で最も普及しているキャリアと独占販売(1地域1キャリア)をしてきた実績があるからです。
今回のiPhone3G(W-CDMA方式)でも、日本国内で圧倒的なシェアを誇るドコモからの発売になると予想されていました。しかし結果はソフトバンクモバイルからの先行販売。
先行販売の意味するところは、iPhone3Gからは独占販売制ではなくなったということです。ということは、今後ドコモ、auからも発売される余地が残されたと受け取れます。アップルファンはこぞってソフトバンクに流れるのではなく、自分の契約しているキャリアの状況を見守る人も出てくるかもしれません。しかしアップルファンの習性として「いち早く」と思うファンが多いことはいうまでもないことですが‥。
アップル社はiPhone3Gを発売するにあたり、独占販売解除以外にも新しいビジネススキームを取り入れるようです。その一つがキャリアとの契約形態の変化です。初代はキャリアに対してユーザーの利用料から一定額をアップルに支払う契約を結んでいましたが、3Gからは端末販売からの販売奨励金(インセンティブ)制を導入するようです。
これによって端末販売価格を安く抑えることができ、普及拡大に寄与させようというわけです。米国では8GBの端末で199ドル、16GBで299ドルといった設定になっています。日本円でいえば2万〜3万円強の価格帯となります。新しく斬新な端末が手ごろな値段で購入できることはソフトバンクにとっても非常に強みになるでしょう。
しかし、ちょっと待ってください。インセンティブ制度は、総務省の研究会で「モバイルビジネスにおける販売モデルの見直し」と称して端末販売に係る収入と費用の明確化、本来の端末価格に関する情報の提供など、問題視され改善の方向性が打ち出されたのではなかったでしょうか。このインセンティブ部分の原資を会計上明確にしてまでも携帯電話契約シェアを増加させることにメリットがあるということでしょうか。
これはあくまで推測ですが、実は世界のモバイルビジネスは日本の今までのモデルを参考に未来のビジネススキームを構築しようとしているように見受けられます。一方、日本は異質であったビジネスモデルを周回遅れの世界に併せようとしてしまったのではないか、とも考えられます。
また、アップル社はiPhone上でアプリケーションを販売するプラットフォームを構築するようです。そこで最新アプリケーションの更新、ゲーム、音楽ダウンロードなどを行い、手数料を得るビジネスモデルを目論んでいます。
これはまさにiモードビジネスと同じあり、日本のお家芸です。この部分も参考にしているのではないでしょうか。もしかするとドコモとアップル社との間に、ダブルプラットフォームの問題があったのかもしれません。これも推測の域をでないのですが‥。
いずれにしてもiPhoneの日本上陸はモバイル業界にとって大きなインパクトになっています。そしてユーザーも新しい驚きに飢えています。iPhone騒動は、単なる話題先行で終わるのか、業界再編にまで飛び火するのか、7月11日以降、注目したいと思います。
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