テキサス州ヒューストン発--Microsoft幹部の発言によると、同社は「Software plus Services」モデルへの取り組みをさらに強化するもようだ。同社では、顧客は今なお顧客配備型のアプリケーションを求めていると考えており、同モデルの強化はこの信念に添った形だ。
Microsoftのビジネス部門プレジデントを務めるStephen Elop氏は米国時間7月8日、同社が当地で開催している「Worldwide Partner Conference 2008」の基調講演の中で、顧客からのニーズがますます高まってきているため、「Software plus Services」モデルが爆発的な力を持つはずだと述べた。
Microsoftは、1年前からハイブリッド(複合)型の同モデルをしきりに宣伝しており、同社のモデルは顧客側に配備しているソフトウェアをサービス体系の中に組み込んでいるので、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)とは違うと主張してきた。純粋なSaaSモデルとは、すべてウェブを介して配布されるホスティング型のプラットフォームを指す。
Elop氏は、今後は顧客が自社配備型のソフトウェアとSaaSモデルを合わせたこのユニークなハイブリッドモデルを採用していくので、Microsoftのパートナー企業はこれに向けて準備を進める必要があると発言した。同氏はGartnerの統計を引用し、2011年には新しいビジネスアプリケーションの25%がウェブベースになるだろうと付け加えた。
SaaSは、ソフトウェア管理の重荷を下ろしてサービスプロバイダーに任せ、その分の資本をビジネス本体の拡張に回したい顧客に対しては訴求力を持つが、ホスティング型アプリケーションへの関心の高まりの中においても、ソフトウェアに対する需要はまったく衰えを見せていない点をElop氏は強調した。
「ソフトウェアは死んだと言う競合他社も一部にはいるかもしれないが、大半の顧客は複合モデルを望むだろう。なぜなら、現場に配備しておかなければならない(アプリケーションが)あるからだ」とElop氏は述べ、さらにシステムインテグレーターはこの複合モデルをどのように具体化していくか顧客が決められるよう、支援しなければならないと語った。
Microsoftの世界中小企業(SMB)市場グループでバイスプレジデントを務めるMichael Risse氏は、ホスティング型のサービスを利用すれば、比較的小規模の企業の予算でもより多くのITサービスが利用できるようになると述べた。
「適切なIT投資を行えば、まるで大企業のようにもなれる」と、Risse氏は述べている。
Risse氏はSMBにおけるIT支出を上位から順に挙げ、基本のインフラ、生産性およびコラボレーションツール、企業資源計画(ERP)、顧客関係管理(CRM)で合わせて全世界のSMBにおけるIT支出の75%を占める、と述べた。
Risse氏によると、IT予算の大部分がこうした分野に割かれる中で、自社でアプリケーションを管理したいと考えるSMBの数は「減少の一途をたどって」おり、その代わりにサービスプロバイダーに委託して、ソフトウェアを管理してもらうのを好む傾向が強くなってきたという。
Microsoftは8日、サブスクリプション型の新しいSaaSサービスとして、「Exchange Online Deskless Worker」および「SharePoint Online Deskless Worker」を発表した。この2つの新サービスは「Microsoft Online Services」ファミリの下で提供され、提携する再販業者を通じて販売されるという。同サービスでは、シカゴに建設した新しい施設を含む、Microsoftのデータセンターがホスティングを担う。
Elop氏は、これらの製品がMicrosoftのパートナー企業のポートフォリオ拡大に貢献し、新しい収入源をもたらすものと期待している。2種類のスイートの再販業者は、初年度の契約金額の12%を受け取り、さらには契約が継続する限り、毎年のサブスクリプション料の6%を受け取ることになる、とElop氏は説明した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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