IDGジャパンが3月28日〜29日の2日間にわたって都内で開催したSaaS(Software as a Service)専門のカンファレンス「SaaS World Conference & Demo 2007」。2日目の基調講演でマイクロソフトは、同社が推進する「Software plus Services」戦略について紹介した。
ソフトウェアをサービスとして提供していくSaaSモデルにおいては両者が対比的に語られる傾向にあるが、マイクロソフトのデベロッパー&プラットフォーム統括本部 プラットフォーム戦略部 部長の成本正史氏は「必ずしもどちらか一方が優れているわけではなく、ソフトウェアとサービスのそれぞれに長所、短所がある」と語る。その上で、お互いの特長を組み合わせたプラットフォームをSoftware plus Servicesとして今後2、3年間で強力に推進していくという。
成本氏は、Software plus Servicesを実現させるために重点的に進化させるべきエリアとして、「エクスペリエンス」「デリバリー」「コンポジション」「フェデレーション」「課金モデル」を挙げた。「既存のシンプルなウェブ、もしくは今日語られているシンプルなSaaSからこれら5つのエリアがそれぞれ進化した最終形がSoftware plus Servicesとなる」(成本氏)
エクスペリエンスはあらゆるデバイス、あらゆる環境でサービスを利用可能とすること。サービスを利用する環境はPC、携帯電話、テレビに代表される情報家電など多岐にわたるが、成本氏は、今後はエクスペリエンスがサービスの一番の差別化要因になると見ている。「すでにサービス分野において、リーチの数を競うというポータルモデルは徐々に終わりに近づきつつある。優れたエクスペリエンスを持つコンテンツの下に、検索やフォークソノミーなどのアプローチでユーザーが直接集まってくる」(成本氏)からだ。
デリバリーは、SaaSを語る上で重要なテーマとなる「サービスの提供形態」を指す。サービスを素材として提供する「Building Block Services」、Windows Updateのように他のサービスを補完する「Attached Services」、単体で完結するサービス「Finished Services」の3種類があり、マイクロソフトではこれらすべてを積極的に推進していく方針だ。
コンポジションは、自分で開発しているアプリケーション資産や外部から提供されている資産を組み合わせてソリューションを構築していく手法。成本氏は「今日、マッシュアップとして流行しているのはプレゼンテーション層におけるコンポジションで、いろいろなサイトを見ればわかるように、地図情報やビジュアルなコンテンツなど非常に限定的。ポテンシャル的にはもっと多くの種類のデータがサービス層でコンポジションされて提供されていくはず」と見ている。
フェデレーションはコンポジションよりスケールが大きく、組織間、企業間、サービス間の連携を指す。今後より多くのベンダがオンラインでサービスを提供していくことを考えた場合、ユーザーIDをはじめとして複数のサーバ・サービス間での連携が重要になってくるという。
課金モデルについては、SaaSにおいては広告モデルとサブスクリプションモデルがあり、コンシューマー向けには広告収入モデルが主流となっている。成本氏は、より厳密に利用に応じて課金されるペイパートランザクションが今後登場してくると見ており、マイクロソフトが提供するサービスもこれらすべてを可能性として検討しているという。
マイクロソフトはこれら5つのエリアそれぞれに対してプラットフォームを提供していく方針だ。「非常に難しいチャレンジだが、われわれとしてこういったプラットフォームを提供することで、ソフトウェアメーカとしての責任を果たしていきたい」(成本氏)
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