子供を育てるには村という共同体が必要となるかもしれないが、オープンソースの携帯電話プラットフォーム「Android」を立ち上げるため、新たなコミュニティーを形成することには、さらなる慎重さが求められそうだ。Googleは、Androidを使った携帯電話の登場が「限りなく近づいている」と語り、その遅れを指摘する報道を否定はしたものの、The Wall Street Journal(WSJ)は、2008年第3四半期の出荷ではなく、第4四半期か、あるいは2009年初頭まで出荷時期が延びる可能性があると報じた。
Androidの出荷が、時経つうちに早まっていくことを示唆する証拠もないわけではない。しかしながら、オペレーティングシステムと対応プログラムがセットになったAndroidソフトウェアを、携帯電話キャリアのインターネットサービス利用拡大につながるようにカスタマイズしようとするにつれて、全体的に通信業界は困難な状況にも直面している。一部の携帯電話メーカーは、Androidの統合、テスト、キャリアの仕様に合わせてカスタマイズしたユーザーインターフェースの構築に、思ったよりも多くの時間を費やしている。
一方で、AppleのiPhoneの開発者は、iPhone向けのアプリケーションを記述するのは、すでにMac OS Xのプラットフォームを熟知しているため、容易であると示唆している。Googleは、これまでは開発者を満足させる点で、それほど成功してこなかったものの、最近では外部の開発者にも、より適応する姿勢を見せるようになってきている。筆者は、どのようにGoogleが開発者コミュニティーと関わっていくつもりなのかを明示する上で、Androidは、Googleにとっても、魅力あるテスト環境になるとにらんでいる。
報道されているように、Androidを搭載した携帯電話の登場は遅れることになりそうだが、AndroidがGoogleにもたらす長期的な恩恵は、価値あるものとなりそうである。
筆者はLineoに勤めていた時、シャープのザウルスシリーズに対応する、業界初のLinuxをベースにした「スマートハンドヘルド」プラットフォームのリリースに携わった。われわれはオペレーティングシステムを提供しつつ、包括的なソリューションの提供を目指して、TrolltechやOpera、その他のパートナー企業と幅広く共同開発を進めた。率直に表現するならば、その結果はすばらしいものとなったが、かなりの苦しみを伴う経験でもあった。
Googleは現在、その「苦しみ」の渦中にあるが、モバイル業界に存在する微妙な差異への理解を深めたり、Googleが完全に支配するのではなく、影響を及ぼす開発者コミュニティーに関わっていくプロセスは、まもなく終えることになりそうだ。このプロセスを通じて、携帯電話市場にとっては、オープンで強力な、新しい存在が誕生することになる。
とにかく今は待つだけの価値がありそうだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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