日立製作所は5月26日、都内で経営方針説明会を開き、古川一夫社長が、課題となっている薄型テレビ事業について「09年度(2010年3月期)には黒字化する」と明言した。同様に07年度に営業赤字だったHDD事業についても08年度には黒字化するとの見通しを示した。
日立の07年度の連結営業利益は3455億円、営業利益率は3.1%、純損失は581億円で、日立では電力、鉄道などのインフラ事業や産業システム事業が好調だが、薄型テレビ、HDD事業が全体の収益の足を引っ張った。
古川社長は、薄型テレビ事業について、超薄型のプラズマテレビや液晶テレビを市場に投入し製品の優位性を強化、設計やパネルの製造工程見直しなどでコスト削減を進める。販売では北米の販売を絞り込む一方、中国などの新興国での販売を強化すると説明。「日立が持つあらゆる販路を使って黒字化する」と述べ、薄型テレビ事業の建て直しに自信をみせた。
薄型テレビを巡っては投資負担が大きいパネル製造から撤退し、外部調達に切り替える電機メーカーの動きが加速している。日立は液晶パネルの生産では松下、キヤノンと手を組む一方、プラズマについては自社での生産を続ける方針。古川社長は「液晶はコモディティ化が進んでいるが、プラズマは技術の進化がまだまだあり、差異化が可能。その判断のもとでプラズマパネルをやっている」と述べ、自社でプラズマパネルを製造する意味を説明した。
HDD事業については「研究成果をすぐに製品化すれば確実に勝てるという技術力がある日立にふさわしい事業。これが成功することで日立がグローバルカンパニーになれる」(古川社長)と位置づけ、ストレージなどのIT機器分野と連携することで収益確保を図る。
古川社長は様々な事業部門が連携して収益を生み出す「コングロマリットプレミアムを発揮したい」と述べ、総合電機メーカーして勝負する姿勢を明確にした。例えば、薄型テレビでは開発でコンピューターなどの技術や原子力部門の素材技術を導入、販売ではインフラ事業と連携して新興国を開拓するといった戦略が可能だという。日立では09年度の連結営業利益で5%を確保する経営目標を掲げるが、古川社長は「営業利益5%はグループの総力をあげて達成したい」と述べ、必達目標とする方針を示した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」