通信機器メーカーのNortel Networksは米国時間2月27日、同社の赤字幅拡大を受けて、より大規模な人員削減を行うことを明らかにした。
同社の2007年第4四半期の売上高が前年同期比4%減の32億ドルになったという発表を受けて、同日、Nortelの株価は約13%急落して9.96ドルとなった。また、同社の赤字額は、2006年第4四半期の8000万ドルから2007年第4四半期の8億4400万ドルへと拡大した。この赤字幅の拡大は税金関連の支出によるもの、とNortelは説明している。
支出を抑えて会社を再び軌道に乗せるために、Nortelは従業員2100人を削減することを明らかにした。また、従業員約1000人を対象に、賃金カットを伴う配置転換を実施する計画だ。同社によると、2007年末時点の従業員数は約3万2500人だったという。Nortelは、人員削減によって年間約3億ドルの経費を節減できる見込みだが、配置転換のために約2億7500万ドルの臨時費用を計上することになると説明した。
Nortelは、従来の電話関連機器の需要停滞に直面し、窮地に立たされている。2005年から同社の最高経営責任者(CEO)を務めるMike Zafirovski氏は、新しい技術に注力することでNortelを成長させようと試みてきた。しかし、同社が今も苦闘しているのは明らかだ。問題の1つはバランスシートだが、ほかにも大きな問題がある。それは、同社が3G無線機器市場という船に文字通り乗り損ね、その結果、この市場でのシェアがごくわずかなものにとどまっていることだ。
Nortelはこうした問題点を認識し、次世代の無線技術に注力してきた。具体的には、WiMAX技術を利用した機器の開発だ。また、競合する4G無線技術のLTE(Long Term Evolution)に対応した製品を供給することも表明している。だが、こうした技術を利用したネットワークの構築はまだ初期段階だ。WiMAXについて言えば、Sprint Nextelが米国でWiMAXの利用に向けて本格的に取り組んでいる唯一の大手通信企業だが、そのSprint Nextelも財務上の問題を抱えており、ネットワークが実際に構築されるのかどうかが疑わしくなっている。
最近、NortelがMotorolaと無線インフラ事業の統合について交渉しているといううわさが流れている。これは両社にとってメリットがあるかもしれない。両社が手を組めば、無線技術標準が広く採用されているヨーロッパなど世界各地で、現行のGSMネットワークの構築に取り組むにあたって、はるかによい位置につくことになるだろう。同時に、米国や韓国など、携帯電話事業者がCDMA技術を使っている市場にも取り組みやすくなる可能性がある。
それでもなお、Nortelが状況を好転させるまでには長い時間がかかるかもしれないと、RBC Capital Marketsのアナリスト、Mark Sue氏は述べている。
「Nortelの刷新された経営陣は最善を尽くしている、というのがわれわれの評価だ。だが、不幸なことに、Nortelの旧経営陣はバランスシートを著しく悪化させたまま同社を去ってしまった。大がかりな戦略的見直しに使える資金が乏しくリソースも限られた状況で、同社はこれからの1年間、基本的な経営引き締めに頼るしかないのかもしれない」と、Sue氏は2月27日発行の調査報告書の中で述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」