フランスのパリに本社を置くAlcatelは米国時間9月1日、Nortel Networksのワイヤレスアクセスインフラ機器事業の一部を3億2000万ドルで買収する計画を明らかにした。Alcatelはこれにより、欧州およびアジアにおける3Gワイヤレス事業の強化を目指す。
Alcatelが取得するのはベースステーション、無線ネットワークコントローラ、運用管理ソフトウェアを含む、NortelのUniversal Mobile Telecommunications System(UMTS)無線アクセス機器部門だ。UMTSは、携帯電話のデータアプリケーションに対応した、通信速度の高速化を実現する第3世代(3G)の携帯電話技術の1つ。UMTSはW-CDMA(Wide-Band Code Division Multiple Access)を基盤に採用したもので、幅広く普及した第2世代のワイヤレス技術であるGSM(Global System Mobilecommunications)の後継として設計されたことから、「3GSM」と呼ばれる場合が多い。
両社によると、NortelのUMTS部門に所属する従業員の大半はAlcatelに移る予定だという。
Alcatelはこの買収により、EricssonとNokia Siemens Networksに次ぐ世界第3位のUMTS製品サプライヤーとなる。
Alcatelのモバイル通信関連事業部社長Marc Rouanne氏は声明で、「われわれは、UMTS業界で第3位の座につくべく、準備を整えている。AlcatelはGSM/EDGE分野において有利な立場にあるほか、WiMaxの分野で早いうちから業界をリードし、LTE(Long Term Evolution)に意欲的に取り組んでいる。今回の買収はAlcatelのブロードバンドワイヤレスアクセス戦略に大きな貢献する」と述べた。
NortelのUMTS部門を取得することで、Alcatelは14社の新しい顧客を獲得することになる。これにはスペイン、イタリア、ポルトガル、英国のVodafone、フランス、ベルギー、スロバキア、ポーランドのOrangeなどが含まれる。Alcatelはさらに、韓国と中国を中心にアジア市場におけるプレゼンスを高めることにもなる。この市場ではすでに、GSMおよびEDGE(Enhanced Data for GSM Environment)技術をベースにした2Gおよび2.5Gのネットワーク構築にAlcatelの機器が採用されるなど、Alcatelは既に高い存在感を示している。
今回の買収は、Alcatelが米国のテレコム機器ベンダーLucent Technologiesとの合併計画を進めるなかで発表された。Lucentは、米国市場を中心に利用されるCDMA(Code Division Multiple Access)とEV-DO(Evolution Data Optimized)に対応したワイヤレスインフラ製品を保有している。株主らは、この件について米国時間9月7日に投票を行う見通し。AlcatelはLucentと協力し、NortelのUMTS部門が擁する技術と、LucentおよびAlcatelの既存のワイヤレス技術および製品ポートフォリオを統合する計画だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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