[レビュー]明日を写し出す新次元α--デジタルカメラ ソニー「α700 (DSLR-A700)」 - (page 8)

礒村 浩一 (Isopy)2008年01月23日 19時06分
ソニー
DSLR-A700
内容:2006年、ソニーはコニカミノルタからαシステムを受け継ぎ、デジタル一眼レフカメラ「α100」を発売した。そのα100はコニカミノルタ「αスイート」をベースに開発したと思われるエントリーモデルとしての性格を持ったカメラであった。そのα100発売からおよそ1年3カ月。待望のソニー「α」2機種目となるデジタル一眼レフカメラ「α700」が満を持して登場した。その新しい「α」は黒く精悍なボディの中に最新鋭の戦闘能力を有する攻撃的な一台である。

カールツァイスの魅力を引き出すα

  • α700と「Planar T*85mm F1.4 ZA」の組み合わせ。レンズ最大径81mm、質量約640gという迫力は、その金属製鏡筒の本物感と併せ今でも羨望を集める。その描写力はシャープでありながらどこまでも優しい

 ソニーαシステムの大きな魅力に高画質なレンズ群の存在が挙げられる。そのなかでもカールツァイスレンズの存在を忘れる事はできない。かつてカールツァイスレンズはコンタックスの一眼レフカメラのレンズとして、その高い描写力により写真を志す者にとって羨望のレンズであった。

 しかし時代の趨勢は、コンタックスカメラの生産終了を余儀なくし、それによりカールツァイスレンズの一眼レフカメラでの使用は特殊なアダプターを使うなどの方法しかなくなってしまっていたのである。

 しかしそのカールツァイスレンズはソニーとの提携のもとαマウントを手に入れ、デジタルカメラという新しい表現の場を得たのである。現在αマウントのカールツァイスレンズは「Vario-Sonnar T*DT 16-80mm F3.5-4.5 Z」「Planar T*85mm F1.4 ZA」「Sonnar T*135mm F1.8 ZA」の3本がラインナップされている。いずれもその描写性能には定評のあるレンズである。これら高性能なレンズの性能を最大限に引き出すには、やはり高画質なカメラが必要となる。α700はその要求に十分に応えられるカメラだと言えるだろう。

  • DT16-105mm F3.5-5.6 絞り優先モード+0.3EV、1/80s、F10、ISO100、WBオート、クリエイティブスタイル 風景 約1224万画素の高画素が木々を精細に描写する。立体感に富んだ画像だ

  • DT16-105mm F3.5-5.6 絞り優先モード+1.0EV、1/200s、F4.5、ISO100、WBオート、クリエイティブスタイル ビビッド キレの良い描写とコントラスト。背景のボケ具合も含めて気持ちのよい描写

  • DT16-105mm F3.5-5.6 プログラムモード+0.3EV、1/50s、F5.6、ISO100、WBオート、クリエイティブスタイル ビビッド 黒い池を泳ぐアヒル。コントラストもよく羽毛の質感もしっかりと描写されている。低速シャッターでも手ブレ補正が効いていてブレずに済んだ

  • DT55-200mm F4.0-5.6 プログラムモード+1.0EV、1/320s、F6.3、ISO200、WBオート、クリエイティブスタイル スタンダード 白馬の毛並みも良く描写されており、トーンも自然だ。白飛びも抑えられている

  • DT55-200mm F4.0-5.6 シーンモード夕景、1/400s、F8.0、ISO200、WBオート、クリエイティブスタイル スタンダード 東京湾に映える夕日。夕景モードでより実際の印象に近い夕焼けが表現できた

  • DT16-105mm F3.5-5.6 プログラムモード、1/60s、F8.0、ISO200、WBオート、クリエイティブスタイル ビビッド、D-レンジオプティマイザ アドバンスオート 通常であれば屋根の下部分は影で暗くなってしまうが、D-レンジオプティマイザをアドバンスオートで掛けてあるので、明るい部分はそのままに影の部分を持ち上げた画像となった

  • DT16-105mm F3.5-5.6 シーンモード夜景、1/6s、F3.5、ISO1600、WBオート、クリエイティブスタイル スタンダード、三脚使用 シーンモードを夜景にしたことでISO1600にセットされノイズの多い写真となってしまった。三脚などでカメラを固定できるのであれば、ISO感度を下げて長時間露光した方がノイズの少ない画像となる場合もある

  • Planar T* 85mm F1.4ZA マニュアル露出、1/200s、F1.4、ISO100、WBオート、クリエイティブスタイル ポートレート カールツァイスPlanar T* 85mm F1.4ZAを使い、開放値F1.4で撮影したのでピントは目元の一点のみとなり、前後は美しいボケとなる。それでいて髪の毛の一本まで解像されておりレンズ性能の高さには驚かされる。肌のトーンも自然で質感も豊かに再現されておりα700との組み合わせにより高いレベルの描写がなされていると言えるだろう

  • Planar T* 85mm F1.4ZA シャッタースピード優先モード+1.3EV、1/80s、F1.4、ISO100、WBオート、クリエイティブスタイル ポートレート Planar T* 85mm F1.4ZAの優しいトーンが赤ちゃんの肌の柔らかさを表現している

  • DT55-200mm F4.0-5.6 マニュアル露出、1/640s、F5.6、ISO5000、WBオート、クリエイティブスタイル スタンダード、C-AF 「オグシオ」ペアで有名な女子バドミントンの「小椋久美子・潮田玲子」選手。07年日本リーグ最終戦での1コマ。激しい動きの室内スポーツであるバドミントンは撮影条件としてはとても厳しい被写体といえる。動きを止めるためにはシャッタースピードを落とすことができないので、ISO感度を拡張域のISO5000まで上げて撮影した。さすがに高感度ノイズが現れているが、暗い体育館という悪条件のなかでもAFがしっかりと被写体を追いかけてくれ、両選手を捉えることができた

  • Planar T* 85mm F1.4ZA マニュアル露出、1/800s、F1.4、ISO400、WBオート、クリエイティブスタイル スタンダード、C-AF 対戦選手のサービスを待ち受ける潮田選手。「オグシオ」ペアが所属するチームはこの大会で優勝し、日本リーグ6連覇の偉業を達成した。高感度ノイズ発生を避ける為にPlanar T* 85mm F1.4ZAの明るい開放絞りを活かして、感度をISO400に抑えて撮影。激しい動きに向くレンズとは言えないが、ボケた背景に浮き上がる人物は美しい。人物の色かぶりは室内照明と緑色のコートの照り返しによるもの

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