サービス開始後は、ユーザーの動向を見ながら機能を追加したり、逆に使われない機能については削除したりしている。サービス開始当初からサイトデザインを担当しているデザイナー自身がその変化の早さに驚くほどだ。
「ユーザーの使い方に合わせて動的にどんどん変えていく作り方をしていくことで、より受け入れられる形に軌道修正していくことができました」(戀塚氏)
「数週間から1、2カ月単位、早いときには即日で、ユーザーの動きを見ながら、こういうふうにしたらユーザーが喜ぶんじゃないかとか、当社としてメリットがあるんじゃないかということをかじ取りしています」(中野氏)
ニコニコ動画は、ユーザーが投稿したりコメントしたりしたものがサイトのキラーコンテンツになる、いわゆる「ユーザージェネレイテッドメディア(UGM)」だ。このため、ユーザーに機能を押し付けるのではなく、反応を見ながら改善を加えていく。
「完成品を届けるということをあまり意識しないようにしています。素材を提供して、それをどう活用するのかはユーザーに委ねています」(ニワンゴ 代表取締役 兼 ドワンゴ ニコニコ事業部 部長の杉本誠司氏)
そこには当然、開発者の想定していない使われ方も出てくる。「弾幕」と呼ばれるコメントの書き込みはその1つだ。ユーザーが動画画面を埋め尽くすようにコメントを書き込む手法のことで、楽曲のサビの部分にあわせて歌詞を書き込むといった使われ方が多い。
戀塚氏は「最初の段階の設計では、コメントが集まりすぎて画面が破綻することは想定していなかった」というが、これを逆手にとって「大群衆がいるような感じを見せるためにあえてコメントを散らすなどの工夫を加えた」という。逆に、ニコニコ動画(仮)の段階ではコメントに自分の名前を書き込む欄を設けていたが、あまり使われていなかったことから廃止した。
ここでも、サービス開始時に機能を絞り込んだことが効いたようだ。
「機能が少ないと考えなきゃいけないことが減るんで、より深く既存の機能に対して改善の検討ができるんですね。機能が増えれば増えるほどそれは難しくなるので、初期は特に機能を少なくすることを意識していました」(戀塚氏)
ニコニコ動画の開発エンジニアは10名ほど。それぞれが新機能のアイデアを持ち寄り、優先順位をつけて機能を実装していく。
「やりたいことはたくさんあるんですが、やる順番にはすごく気を使っています」(中野氏)
優先するのは、開発期間が短く、サービスへの影響力が大きく、ユーザーに使ってもらえるような面白いもの。「すごく面白いと思っても開発に時間がかかるものは、いまのニコニコ動画のスピード感に合わない」(中野氏)という理由で見送っている。
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