米Yahooは、同社を提訴していた2人の中国人ジャーナリストと和解した。同社は1週間前、下院外交委員会の聴聞会で、同社が中国政府に情報を提供したために2人のジャーナリストが投獄された件で、委員らから激しく非難されていた。
現在、懲役10年の判決を受けたShi Tao氏とWang Xiaoning氏の2人は4月に、Yahoo Hong Kongが彼らの電子メール、IPアドレス、実際の住所を進んで中国政府に提供したとしてYahooを提訴した。両氏は、中国の国家機密を漏えいした容疑で逮捕されたが、Yahooはその機密とされる情報の内容を見て、中国政府が政治的理由で言論の自由を抑圧しようとしている事実に気付くべきだった、と人権擁護団体World Organization for Human Rights USAのエグゼクティブディレクターであるMorton Sklar氏は主張する。同団体は、Shi氏らに代わってYahooに対する訴訟を提起した。
一方のYahooは、同社は単に中国の法律を遵守したにすぎないとして自らの責任を否定し、サンフランシスコの連邦裁判所にShi氏らの訴えを棄却するよう求めていた。
Sklar氏によると、Shi氏らとその家族は和解に満足しているという。裁判なら判決が下るまで5年もの歳月がかかっていた可能性もある、と同氏は付け加えた。裁判所は、和解の条件については明らかにしていない。
「和解の成立により、Shi氏らとその家族は(裁判による解決よりも)早期に救済されるが、一方で、今回の和解が先例となり、米国企業は単に現地政府の命令に従うだけでは全く不十分であること、また海外で決断を下す際には米国の法律や人権基準にも目を向ける必要があることが明確になった」(Sklar氏)
Yahooは、Shi氏らの家族への経済支援を行うだけでなく、人道援助基金を設け、そのほかの政治的反体制活動家とその家族を支援していくと発表した。
Yahooの最高経営責任者(CEO)であるJerry Yang氏は声明で、「(Shi氏らの)家族と面会し、彼らのため、Yahooのため、そして未来のために、この状況を是正する必要があり、そのためにわれわれがすべきことが明確になった」と述べ、さらに次のように続けた。「そもそもYahooは、情報の自由な交換によって、人々の生活の仕方、ビジネスの進め方、自国政府との関わり方が根本的に変わるという考えの下に設立された。われわれは、われわれの活動が世界中でのわれわれの価値観と確実に一致するよう常に心掛けている」
米国時間11月6日に開催された下院外交委員会の聴聞会で、Christopher Smith下院議員(共和党、ニュージャージー州選出)は、Yang氏とYahooの法律顧問を務めるMichael Callahan氏に対し、Shi氏らと和解するよう強く促した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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