YouTubeが初のユーザーイベント--共同創業者チェン氏が誕生秘話を語る

岩本有平(編集部)2007年10月26日 16時56分

 グーグルは10月26日、動画共有サイトYouTubeの国内初となるユーザーイベント「YouTube Mix」を開催した。ユーザーや関係者約200名が集まった会場にはYouTubeの共同創業者のSteve Chen氏が登場。YouTubeの誕生から現在について語った。

YouTubeの共同創業者のSteve Chen氏 YouTubeの共同創業者のSteve Chen氏

 YouTube誕生のきっかけは2005年にChen氏らが開催していたパーティーだという。参加者はデジカメやデジタルビデオを持ってきていたが、デジカメで撮影した画像を共有するサービスがある一方、動画を共有するサービスがなかったことから、サービスの立ち上げを思いついたという。

 そこで2005年2月に同じく共同創業者であるChad Hurley氏らとともにテストサービスを開始し、同年5月にはベータ版を公開した。サービス開始当初は「特定の相手に対してビデオを共有したい」というニーズを想定していたが、次第に「ビデオを世界中に公開したい」というニーズが増え、同年12月までに大きくユーザー数を伸ばしていったのだという。そして正式版では1日に300万回も動画が再生されるようになった。

Chen氏が初めてアップロードした動画 Chen氏が初めてアップロードした飼い猫の動画

 現在では毎日数億という動画が再生され、数十万の動画がアップロードされているという。1秒間に7時間分の動画がアップロードされており、以前はChen氏自らが選んでいたトップページ上のおすすめ動画についても「(選んでいると)寝る時間がなくなりスタッフを雇った」と説明した。Chen氏は「2年前にはこんな事になるとは思っていなかった。エンジニアも頑張っているが、何よりユーザーのおかげ」と語る。

 Chen氏はYouTubeの人気が高まるにつれ、もともとあったエンターテインメント以外の利用が進んできたとも説明。前英国首相のTony Blair氏が首相当選時にYouTubeで公開した祝福のコメントや、NPO法人が公開したダルフール紛争解決を訴える自主制作ビデオなどを紹介した。

 そして「Feel Good Video(気分が良くなるビデオ)」という言葉を掲げて、世界各国でYouTubeをもとにユーザーの価値観がつながっていると語った。そしてその一例として路上で見知らぬもの同士が抱き合う「Free Hug」のムーブメントに関する動画を紹介した。

 これはオーストラリアの男性が始めたものだが、今では世界各国で行われており、東京でこのムーブメントに参加している人たちの動画も紹介された。Chen氏はこういったムーブメントについて、「くだらないかもしれないが、YouTubeがなければこんなムーブメントもなかった」と説明。また、日本のコンテンツについても重要だと語り、スピーチを締めくくった。

「YouTube Movin' Box」 「YouTube Movin' Box」

 YouTubeは今後、日本でも大々的なプロモーションを開始する。まずは、YouTubeのロゴをあしらい、無線LAN搭載PCやビデオカメラなどを搭載したワンボックスカー「YouTube Movin' Box」を全国のスポーツイベントやレジャーイベントに派遣、「感動キャプチャープロジェクト」として、YouTubeを通じて感動シーンを伝えていくという。12月に沖縄で開催されるNAHAマラソンや苗場スキー場などに出動することが決定している。

 さらに、学園祭シーズンにむけて、学習院大学や慶應義塾大学、立教大学、成蹊大学の学園祭と連動した「ミスキャン(&ミスター)PVグランプリ」を開催する。グランプリは学園祭とYouTube上で同時に発表される予定だ。

説明 ミスキャン(&ミスター)PVグランプリの候補者たち

 また、デジタルハリウッド取締役学校長兼学長の杉山知之氏が登場。「Super YouTuberへの道」と題して、YouTubeに投稿した動画が注目され、トップページに取り上げられるためのポイントを紹介した。杉山氏はタイトルへのこだわりや、外国人にもうけるネーミング、サムネイルで表示される画像へのこだわりなどが重要だという。

 6月より日本語版サービスを開始したYouTube。2週間前には米国で不正コピー防止ツールに関する発表も行っているが、今回のイベントにおいてもユーザーに対して、オリジナルコンテンツを公開すること、著作権を守り、ポリシーガイドラインに沿った投稿を行うことを訴えていた。

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