シーネットネットワークスジャパン主催のイベント「CNET Japan Innovation Conference」が10月25日に開かれ、Googleの広告営業企画シニアマネージャーの高広伯彦氏が「Googleの動画広告の展開〜Advertising as Content」と題した特別講演を行った。
「広告の始まりは“私は存在する”を表したこと」。冒頭でこう切り出した高広氏によると、広告の基本は商品の存在をアピールすることにあるという。さらにその後、活版印刷が生み出され、メディアがテクノロジーと出会い、広告の世界に“マスプリンティング・コミュニケーション”という概念が萌芽した。
そして、19世紀に始まった新聞メディアにより“マスメディア”が立ち上がる。大量生産型の社会がそれを必要とし、日本でも広告市場が飛躍的に成長した。
1953年に日本でテレビ放送がスタートしたことを契機に、メディアはより大衆化した。しかしながら、「テレビの視聴スタイルは近年変化してきている」と高広氏は指摘する。“公衆”の場に設置されたテレビを大勢の人が取り囲んで見ていた創生期のテレビ視聴スタイルが、その後は各“世帯”に入り込み、現代では1人1台のように“個人”の家電へと変遷しているというのだ。
さらに、YouTubeが登場したことで、広義の意味でテレビを含む動画の世界がよりパーソナルなものになってきているのが現状だ。高広氏によると、こうしたメディア特性の変化は当然ながら広告世界にも変化をもたらしているという。広告をいかに“必要なもの”として届けていくか、ここにネットのテクノロジーが貢献し始めた。「“消費者が必要な情報を必要なタイミングで提示すること”が大切であり、それを可能にするソリューションを提供するのがGoogleだ」と高広氏は語る。
Googleが提供しているオンライン動画広告のソリューションには、AdWordsの広告フォーマットのひとつとして展開するオンライン動画広告と、子会社であるYouTubeにおける動画広告が存在する。高広氏によると、両者の位置づけの違いは、消費者に“Infomation”として届けるAdWordsの動画広告に対して、YouTubeは“Contents”であるという点だ。
英語版YouTubeのトップページで再生される動画広告は、ユーザー自身に評価させることでバイラルなマーケティングツールとして進化していく。また動画コンテンツ内にリンクを挿し込むタイプの広告は、動画が再生された直後に表示されるほかはユーザーがマウスオーバーしない限り現れない。リンクをクリックすると広告動画がオーバーラップするが、それを閉じれば途中まで見ていた動画が続きから再生される。
つまり、広告の配信はあくまでユーザーの判断に委ねられ、高広氏が強調する「“見たいCM”としてユーザーに好意的に受け入れられること」が実現されるというのだ。
講演の最後に高広氏は、「消費者はマーケティングコミュニティーの参加者になった。一方の企業も消費者コミュニティーへの参加者にならなければならない」と述べ、オンライン動画広告マーケティングのキーポイントを以下の4点にまとめた。
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