Googleはオンライン広告プログラム「Google AdSense」を拡大し、従来提供してきたテキスト広告に加えて、サイトの運営者がサイト内にYouTubeの動画クリップを埋め込んで表示できるようにする。表示可能な動画クリップはYouTubeのコンテンツパートナーが制作したもので、対象限定型のバナー広告またはテキスト広告が掲載され、サイト運営者はそこから広告収入を得ることができる。
ウェブサイトのオーナーは、希望する種類のコンテンツをどれでもサイトに掲載することができ、それに伴う広告から売り上げの一部を得られる。すでに成功を収めているGoogleのオンライン広告事業は、これによってさらに強化され、サイトオーナーもサイトからの収入を増やすことができる。Googleはウェブサイトが求める各種のコンテンツを配信していく。
AdSenseの新しいコンテンツ配信プログラムは、米国時間10月9日からの開始だ。最初は「ビデオユニット」と呼ばれる動画の配信からだが、GoogleのプロダクトマネージャーであるChristian Oestlien氏によると、将来的には音声、ニュース記事、ゲームなど動画以外のメディアもプログラムに追加していくという。
Googleは最近まで、「Google AdWords」を通じて、テキスト広告をウェブサイトに配信する事業に大きな努力を傾けてきた。AdWordsは、広告主がキーワードを入札するオークション形式の広告出稿システムだ。Web上のいたるところで「Ads by Google」と表記された広告のあるサイトを目にするが、誰かがその広告をクリックすると、売り上げがGoogleとサイトオーナーの間で分配される仕組みになっている。
動画に対するインターネットの関心が高まっている現在、サイトオーナーたちは、この新たな広告モデルを利用して、実質的に自分で動画を配信することにより自らのサイトの訴求力を向上させられる。
新しいAdSenseプログラムでは、ウェブサイトのオーナーは2種類の広告スタイルから好きな方を選択することができる。1つはビデオプレーヤーの上部に表示される静止型のバナー広告、もう1つは動画クリップの開始から10秒間表示されるテロップ型のテキスト広告だ。テロップ型の広告は、画面の下方、面積にして20%ほどを占める。これらは、サイトやキーワードに基づいた対象限定型の広告だ。ユーザーはこれらの広告を最小化することもできる。広告主は、クリック報酬型またはインプレッション報酬型の課金システムによって料金を支払う。
クリックで再生が始まる配信動画を提供するコンテンツプロバイダーとして名前が挙がっているのは、TV Guide Broadband、ハウツー物の動画を提供しているExpert Village、アニメーションの配信を手がけるMondo Media、アドベンチャースポーツと旅行を専門とするExtreme Elements、大手モデル事務所のFord Modelsなどだ。
ウェブサイトの運営者は、ビデオプレーヤーのサイズを大、中、小の3種類から選ぶことができ、配色も好きなように変えられる。
Oestlien氏によれば、同プログラムは当初、米国内の数千ほどのオンラインAdSenseパートナーのみを対象とするが、このあと数四半期のうちには、YouTubeが利用できるほかの国にも対象を広げていくという。
オンライン市場調査会社Sterling Market IntelligenceのGreg Sterling氏は次のように述べている。「Googleが純粋な広告事業以外にAdSenseのネットワークを利用するというのは興味深い動きだ。従来のAdSenseを通じて獲得する広告を配信するという点で、オンライン動画から収益を得る仕組みとしても興味深い」
Googleは、これまでもAdSenseのパブリッシャーネットワーク上で動画と動画広告を配信するテストを行なってきたが、賛否の分かれる結果となっている。同社は、動画クリップの前後に広告を挿入するインストリーム広告や、広告付きインストリーム動画クリップの配信実験も行なったが、バナー広告とテキスト広告が最適との結論に至ったようだ。Googleはこのほか、クリックで再生を開始する動画広告も提供している。こちらには、広告以外の動画コンテンツは含まれていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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