米国インターネット視聴率調査会社の大手、ComScoreが2007年6月についに日本に上陸した。コムスコア・ジャパンを設立し、8月には国内ウェブサイトのトッププロパティおよびその増加率のランキングを発表、9月には検索を対象とした調査「qSearch 2.0」を公開している。
国内ではすでにネットレイティングスとビデオリサーチインタラクティブが長年にわたってサービスを提供しているなか、いかにして存在感を高めていくのか。米国ComScore 社長兼最高経営責任者および共同創設者であるMagid Abraham氏と日本法人コムスコア・ジャパンの代表取締役を務める佐藤英丸氏に、同社の世界戦略を聞いた。
佐藤:基本的にキーメジャーズという20項目ぐらいの指標、例えばいま話題のトータルミニッツや、トータルページビューが、日本のデータであれば3000位ぐらいまで出てくるドメインレベルの指標が閲覧できます。これが一番ベーシックなサービスで、一番安くて年間150万ぐらいです。
これに、もっと込み入った分析のリポートを作りたい、自分のサイトにどこから来てどこへ出ていくというのを知りたい、自社のほかに競合の動向をグラフにして閲覧したいだとか、10種類ぐらいの様々なリポートがあるのですが、それをいくつ追加するかによって変わってきます。フルサービスの場合は年間300万ぐらいです。
インターネットの会社ばかりではなく、ここ5年ぐらいで通信販売系の会社なども、商品をインターネットのチャネルで売っていくために自社サイトの動向を見たいと考えています。
このような企業はサーバログ解析のようなマシンベースのサービスでやるにしても社内に専門家がいないことが多いです。そのような中でもマーケッターとしてはどういうキャンペーンをサイトで行うと前月とどれぐらい変わるのか、どこから来ているか、そういう基本的な指標は見ていかなければいけない。そういう企業に関してはキーメジャーズだけでも最初は十分でしょう。
Magid:基本的にまず技術的な面からいうと、ComScoreはより革新的な試みを重ねてきました。たとえば、インターネット上の様々なデータを取得する技術は一番最初にcomScoreが開発していることが多いです。ECのデータとか、購買データを取得することも、ComScoreが初めて開始しました。
また、ここ1、2年でサーチエンジンのマーケットが、要はサーチを提供している企業にとっても、広告を出稿している方にとっても、ユーザーがどれくらいサーチを利用しているかが非常にキーになってきています。ComScoreは初めてサーチエンジンに対するメジャーを提供しており、これは「qSearch」というプロダクトで、日本でも準備ができました。
ビデオのダウンロードやストリーミングのメジャーを始めたのもComScoreが最初です。このサービスは「Video Metrix」といいます。
このビデオストリーミングという数値は、何人くらいの人がどれくらいの時間を使ってどんなサイトを見ているかがわかるものです。例えばテレビがオンデマンドで番組を配信するときに見られもしないものを出しても仕方がないので、その傾向をきちっと見ることが非常に重要となりますが、そのようなサービスもさきがけて始めました。
佐藤:日本でも今年の10月、11月ぐらいには国内のデータを使ったVideo Metrixを出します。これはユニークビジターではなくてユニークストリーマーといって、ストリーミングを利用している人です。日本のユニークビジターは5000何百万人いるかもしれないけれども、トータルユニークストリーマーは3000何百万人である、ということがわかります。そのうち一番見られているトップサイトはここ、トータルミニッツがこれくらいということがわかります。
Magid:マーケットでは新しい仕組みや技術が出てきますが、それをキャッチアップする体制でやっているので他社に先駆けて早く業界が必要とするデータを出すことができています。
ComScoreがオンラインアドの傾向などのデータを出すと、それに追随して例えばGoogleの株が上がったり、ヤフーのが下がったり、ということが頻繁にあります。そのようなことから考えると、ComScoreのデータというのはスタンダードな指標として重要視されているといえます。
佐藤:ただ、こういうのは100点満点というのがない世界なので、やはり使う人がメソドロジーやディフィニションを理解してやっていかなければなりません。ComScoreのユーザーはやっぱりNetRatingsも閲覧していますし、どちらかしか予算的に選べないというときに効いてくるのがリポーティングの使い方や使い勝手、閲覧できるデータの量になります。だから、どっちが優れているというのではなくて、機能的にどこまで拡張性があるかということだと思います。
Magid:どこのEC、広告、サーチエンジンのお客様でも携帯電話からのインターネットデータは非常に望んでいます。まず我々は4半期ごとにキャリアのシェア、あとはモバイルサイトにどういう用途でどれくらいの年齢層が来て、どうやって使っているかを、キャリア別、ジェンダー別、インカム別など、非常に詳細に出すサーベイを提供しています。それを「MobileWeb Metrix」という名称でサービスに加えました。
佐藤:ComScoreは去年から携帯電話からのインターネットアクセスを何とか指標として出せないかといろいろ考えていまして、理想的には代表性のある携帯電話ユーザーをそのマーケットで持って、どこのサイトを見ているかがわかるようなメーターを入れてもらうのがいいしょう。しかし、ご存じのように携帯電話というのはヨーロッパでも米国でも日本でもそうですが、基本的にサイトからサイトにウェブ上をPtoPで飛んでいるのではなく、ドコモを利用していたら1回ドコモのサーバを通るという仕組みになっています。これは電話番号の管理などいろいろ意味がありますので仕方がなくて、世界各国で一緒です。
そうすると、日本には3つのキャリアあるので、ドコモとKDDIとソフトバンクときちんと話をしていかなければいけない。米国ではベライゾンとかAT&Tと今話をしておりますし、ヨーロッパも一番大きなボーダフォンや、いくつかと話をしています。私はまず日本の3キャリアとお話をして口説いていかなければいけないですね。
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