6月にYouTubeが欧州に進出を果たしたが、欧州でも動画共有サイトの利用は浸透しつつある。調査会社の米comScoreによると、フランスの全インターネット利用者のうち約8割(79%)が動画サイトを閲覧しているという。フランス人ユーザーはインターネット利用時間のうち、動画サイトに13%の時間を費やしており、1ユーザーあたりのストリーミング回数は64回。英国の場合、動画サイト利用者の比率は80%で利用時間の比率は10%、ドイツの場合は70%と9%、米国は76%と6%となっている。費やす時間の比率としては、フランスのユーザーが最も多い(数値はいずれも2007年4月)。
フランス人がなかなかの動画好きとすれば、それにはフランスで生まれた動画共有サイト、DailyMotionが無関係ではないはずだ。
DailyMotionは2005年2月に設立された。サービス開始は3月で、DailyMotion側は「YouTubeよりも早かった」と主張している。当初「Shortv.net」としてスタートしたが、その後「DailyMotion」に改名した。立ち上げたのは、サイバーカフェで働いていたこともあるというBejbaum氏、それにOlivier Poitrey氏の2人だ。「ホームパーティで撮ったビデオを共有したかった」というYouTube設立者2人組と同様、Bejbaum氏も「旅行中撮影したビデオを共有したかった」と設立の経緯を語っている。Poitrey氏は、Linuxを職場で学んだという技術者で、最初の立ち上げ作業の多くはPoitrey氏の自宅で行われたようだ。現在、Bejbaum氏はCEO、Poitrey氏はCTOを務めている。
DailyMotionの特徴は、投稿する動画の容量がYouTubeより多い150MB(本数は無制限)、画像のクオリティが高いこと、言語サポートなどだろう。ウェブカメラから直接投稿できる機能、アーティスト用のMotionMakerなどユニークなサービスを提供している。欧州ユーザーを中心に人気を集めており、投稿したユーザーの国旗にはフランス国旗のトリコロールを中心にスイス、ベルギー、イギリスなどが並ぶ。日本語対応しているので、まれに日本の国旗もある。同社が発表した2006年12月の数値では、メンバー登録者は250万人、月間PVは7億8200万。1日に約9000本の動画がアップされているという。
Akihabara NewsやフランスのTV局と提携し、ホワイトレーベルでのプラットフォーム提供も行っているが、ビジネスモデルは広告。このように、サービスとビジネスモデルからみると、YouTubeと同じといえるだろう。
地元フランスでは、DailyMotionの人気は高い。Alexaのフランス版ランキングでは、全体で第9位、動画共有サイトとしてはトップとなっている(YouTubeは全体11位、動画共有サイトでは2位)。一方、comScoreのフランスのオンライン動画ストリーミングに関するデータ(2007年4月)を見ると、YouTube、Google Videoを含むGoogleが、ストリーミングの回数は2億8570万回でトップ。DailyMotionは2億4920万回で2位となっている。
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