2007年の夏は、新興企業の買収が異例と言えるほどの活況を見せ、起業間もないインターネット企業が大手メディアコングロマリットのねらい打ちに遭っているような状況だ。
8月に入ってからの約半月だけを見ても、出版大手のHearst CorporationがソーシャルショッピングサイトのKaboodleを買収したほか、New York Timesは社会経済ブログのFreakonomicsを「吸収」した。また、Forbes Magazineがソーシャルブックマークの新興企業Clipmarksと買収交渉を行っているとの噂も流れている。
7月には、ケーブルメディア大手のDiscovery Communicationsがエコ系ブログのTreeHuggerを買収し、5月にはCBSが音楽専門のソーシャルネットワーキングサイト(SNS)のLast.fm、および金融系ビデオブログのWallstripを獲得している。
「意外に思えるだろうが、われわれは複数のメディア企業と交渉を行っていたものの、どういうわけか、技術系企業とはそれほど交渉しなかった」と、Kaboodleの創業者、Manish Chandra氏は話す。
こうした買収には動機がはっきりしないものもあるが、1つだけ確かなのは、YahooやGoogleが買収のターゲットとしたほうがより適切にも見えるウェブの新興企業に、メディア企業が数千万ドルから数億ドル規模の資金を注ぎ込んでいる、ということだ。
メディア企業がウェブ系企業を競って買収する流れは、かつてのバブル期を思い起こさせるものであり、首をかしげたくなる傾向だ。(かつてTime WarnerがAOLを買収して失敗したケースなど、少なからぬ実例をもとに考えると)1990年代後半のドットコムバブルの時代にIT企業買収ブームの第一波が押し寄せて以来、大手メディア企業には莫大な費用のかかるウェブ企業買収のノウハウがないという見方が、もはや常識となっている。
「メディア企業は今、こうした買収合戦に深く関与できるだけの資金を手元に持っているが、彼らの大部分は、根本的なことがわかっていない。ウェブパブリッシングの仕組みを理解していないのだ」と、かつて新聞社で編集者の職にあり、現在はベンチャーキャピタルのTapit Partnersでパートナーを務めるAlan Mutter氏は指摘する。同氏は、ブログ「Reflections of a Newsosaur」でニュースメディアの進化(多くの場合は退化だが)について、記事を書いている。
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