「何でもダメではメディアが死ぬ」--ニコニコ動画と手を組むバイアコムの狙い - (page 3)

永井美智子(編集部)2007年10月12日 12時15分

――米国本社の反応は。

 大きな反対はありません。もちろん、ビジネスとしてのメリットと、著作権侵害に対する取り組みをきちんとしていることを説明しています。

 法務の観点からは、やめたほうがいいという意見があったのも事実です。ただ、メディア企業としてのリスクだけでなく、ビジネス面でのメリットがあります。訴訟リスクもないとはいえませんが、リスクのないビジネスなどありません。リスクとメリットのバランスを考え、メリットが大きいと判断して決めました。

 もちろんビジネスなので、想定したほどのメリットが得られないとなれば終了することはあり得ます。それでも、これだけ急成長しているネットメディアと組むことはビジネス面で大きなチャンスがあると考えています。

 また、背景にはMTV NetworksのGlobal Digital Mediaプレジデントであるミカ・サルミが「オープン」という哲学を持っていることもあります。コンテンツを自分たちで囲い込むのではなく、外に出すことで多くの人に届け、ビジネスを拡大しようというものです。今回の提携もこれに沿った形と言えます。

――ニコニコ動画内では、具体的にどのような形で展開するのですか。

 ニコニコ動画の中にMTVブランドのページを作り、我々がその編成権、デザイン権を持ちます。ここに広告を掲載し、得られる収益は両社で分け合います。広告の販売はVIJが行います。収益の分配比率は交渉中です。

――サービス開始当初はアニメのみの提供になりますが、将来的には音楽番組を配信することもありうるのでしょうか。

 プロモーションビデオについては、レコード会社が著作権を持っているのでわれわれが勝手に提供することはできません。ただ、共同サイトが人気を呼び、多くの人が集まってメディアとしての力を持てば、そういった交渉もしやすくなると思います。

 レコード会社とMTVの契約で、(プロモーション目的という位置づけで)インターネット上で流して良いとなっている音楽ビデオもいくつかあります。今回のサイトをMTVブランドにしたのも、このサイトがMTVのメディアであるという位置づけにするためです。将来的にここで音楽ビデオが配信できる可能性はあります。

――物販やモバイルでの展開は。

 物販は現在のところ考えていません。モバイルサイトはサービス開始当初はありませんが、PCとモバイルを連携したサービスは当然やっていきたいと思っています。

――今後、共同サイトをどういうものにしたいと考えていますか。

 著作権保護にしっかり取り組みつつ、ほかのメディアとも友好な関係を築けるサイトにしたいですね。著作権に抵触しないところで多くの面白いコンテンツと人が集まり、ユーザーが楽しめるメディアになってほしいと思っています。

 同時に我々の持つ優良コンテンツを多くの人に届け、MTVやViacomのブランド価値向上につながるようにしていきたいです。

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