Paceは実写版の映画の問題に取り組んでいる会社の1つだ。かつて連続TVドラマ「Baywatch」を制作し、現在は低予算3D映画の制作を手がけるStereo Vision Entertainmentで会長を務めるDoug Schwartz氏は、このPaceの3Dカメラを高く評価している。
「昔の3Dカメラはフォルクスワーゲンの「ビートル」と同じくらいの大きさだった。ところが今や、ハンドヘルドやステディカム、水中カメラ、台車式、ズーム、クレーンカメラなどがあり、カメラを使って何でもできるようになった」とSchwartz氏は語る。また、Quantelの技術を利用すれば、映画監督が撮影セットにいながらにして映像をすぐに3Dで確認することができる。
その一方で、「Journey 3-D」(Jules Verneの小説「地底探検」の映画化)を制作しているビジュアルエフェクト映像制作会社Hybride Technologiesの設立者であり社長でもあるPierre Raymond氏のように、3D映画製作用ツールの不備を指摘する声もある。たとえば、コンピュータを使って小道具(俳優を空中に吊り下げるためのワイヤなど)をデジタル消去する処理は、2Dの場合より格段と難しくなる。
Raymond氏によると、「これを3Dで行う場合、右目用の映像で消去して見えなくなり、左目用の映像で消去して見えなくなっても、ステレオグラスをかけると断片がはっきり見えてしまう」という。
3D映画はまだ目新しい技術であり、その価値を最大限に引き出すための努力が続けられている最中だ。「市場に投入される新しい技術に共通しているのは、あまり使い物にならない段階を必ず経るということだ」(Raymond氏)
Stereo Visionにとって最初のプロジェクトである、Schwartz氏の作品を例にとってみよう。2008年秋に公開が予定されている「Aubrey Blaze Piranhas 3-D」は、ブラジルの洞窟に閉じ込められたビデオゲームクリエーターたちが、突然変異で空を飛べるようになった肉食魚との対決を余儀なくされるというストーリーだ。
Schwartz氏は「水は3D映像にとって絶好の素材だ。物を水に浮かせてスクリーンの中央に置き、そこから観客に向かって飛び出してくるようにできる」と語る。Stereo Visionは現在、マイアミのサウスビーチを舞台にレストランのウェイトレスたちが登場するコメディ、「Hooters 3DD」の3D化にも取り組んでいる。
3Dのショック効果に対して寛容な映画でさえも、その受容には限度がある。「観客の神経に触るようなことはすべきでない」とSchwartz氏は警告する。たとえば、MTVスタイルのシーンの高速切り替えは、観客が焦点を定め直さなければならないためタブーである。
REAL DのLewis氏をはじめとする大半の関係者は、観客をストーリーに集中させる技術が定着すれば、3Dを気楽に楽しめる時代が到来するであろうと予想している。「目標は、物が自分に向かって飛んでくるかのように観客に感じてもらうことよりも、自分が映画の一部になったように感じてもらうことだ」(Lewis氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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