サンフランシスコ発--米国時間2007年11月16日に公開のParamount Picturesの新作3D映画「Beowulf」。観客がこの日目撃するのは、アングロサクソン系の英雄とさまざまな怪獣たちとの間に繰り広げられる戦いだけではなさそうだ。
Robert Zemeckis監督のこの作品は、今日の3D映画ブームのパイオニア的存在であるREAL Dにとって、Dolby Laboratoriesの「Dolby 3D」という新しい挑戦者と初めて直接対決する大舞台でもある。
最高経営責任者のMichael Lewis氏によると、「Beowulf」はREAL Dの技術を導入した全米1000スクリーンで公開される予定だ。Dolby 3Dを使用するスクリーン数はDolbyからはまだ発表されていないが、Dolbyは現在、Dolby 3D技術のインストールベース拡大に負けじと取り組んでいる。足かせとなっているのは、主にパートナー各社による3Dグラスの製造が追いついていないことだ。
「配給範囲の広いREAL Dがリードしていることは確かだが、この競争の行く末には誰もが注目している」と語るのは、Paramountから立体映画制作技術の動向評価を委託されている制作会社、Main Street Picturesの最高経営責任者Aaron Parry氏である。
3D映画技術を普及させる競争の結果、業界関係者の多くがいつか必ず訪れるだろうと予想している日、つまり3D映画が特殊なジャンルとしての枠を脱して標準となる日が早まる可能性がある。その意味では、20世紀に登場した音声やカラーと同様、3Dへの移行をエンターテインメントビジネスにおける単なる節目としてとらえることができる。
「Fusion 3D」カメラをJames Cameron監督と共同開発したPaceのVince Pace氏は次のように語る。「10年後には、エンターテインメントで完全な臨場感を得られるようになるだろう。物理的な世界での体験と、映像による仮想体験との間の区別はもはやつかなくなる」。このFusion 3Dカメラは、2009年に公開されるCameron監督の映画「Avatar」で使用されている。
映画業界が革命的な変化を待ち望んでいることは明らかだ。製作会社の業績が低迷する中、大型フラットパネルディスプレイとサラウンドサウンドの普及によって、映画館に取って代わる存在としてホームシアターが台頭してきた。また、映画「チキンリトル」のように、3Dバージョンが2Dバージョンより高い興行成績を上げた例もあり、これと同じ例は今後も登場するであろうと考えられている。
JPMorganのアナリストBarton Crockett氏は9月のレポートで次のように分析している。「3D技術は、斬新な視覚体験を提供することによって観客数の増加と入場料の引き上げを可能にする。その意味で、映画館にとって有意義な成長を促す潜在性を秘めている」
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