コミュニティでの書き込みやユーザーの日記を分析すると、不満を招いた原因はいくつかあるようだ。1つはアバターの初期設定が、髪型が「ぼさぼさヘア」、インナーが「くたくたの肌着」、ボトムスが「ダサめのスカート(もしくはズボン)」であること。ユーザーはアバターアイテムをそろえ、着替えさせる必要がある。
これには「アバターに手を加えてないとボサボサの髪、クタクタの服、ださめのズボンorださめのスカートのままだからまるで貧乏人です」「クローゼットの中みたら、現在の髪型=ボサボサ 現在の服=ヨレヨレのシャツ …勝手に変えといてあんまりやん!!」といった批判の声が並ぶ。
クリノッペを使うまで、アバターを使ったことがないユーザーが数多くいたことも騒ぎを大きくした要因だろう。くしくも「ユーザーから寄せられる問い合わせの中で、アバターの使い方がわからないというものは多い」と田尻氏が話すように、すべてのGREEユーザーがアバターを使っているわけではない。
クリノッペの存在を知り、飼ってみたら自分のアバターと一緒に表示されたので、初めてアバターがあることを知った。しかしアバターの初期状態は上記のように「恥ずかしい」設定になっており、他の人と同じ顔かたちをしている。それをカスタマイズするにはゴールドと呼ばれるGREE内の専用通貨が必要。アバターアイテムは100〜200ゴールドするものがほとんどで、入会時に与えられた300ゴールドはすぐなくなってしまう。
実はここに2つめのユーザーの不満点がある。ゴールドをためる方法としては、1)友人を招待する、2)GREEのスポンサーサイトに登録する、3)現金でアバターを購入する、4)月額315円の有料会員になる、の4つがあるが、ほとんどの場合費用がかかる。有料アバターアイテムの最低価格は525円、有料会員の月額費用は315円だ。年齢制限を設けていないGREEは未成年のユーザーが31%を占め、「無料で遊びたいのに楽しめない」という不満につながっている。
もちろんGREEでは、アバターアイテムをゲームの高得点者に無料で配布したり、「ガチャ」といって月1回無料でアバターアイテムを手に入れられるサービスも用意している。ただ、ユーザーが簡単にいくつもアイテムを手に入れられるわけではないため、不自由さを感じてしまっているようだ。
アバターアイテムを活用しているサービスとしては、モバイルSNS最大手のディー・エヌ・エー「モバゲータウン」などがある。ただしモバゲータウンの場合は広告をクリックするだけで、わずかながらモバゴールドというアバターアイテムを獲得するのに必要なポイントを得られる。また、同社が運営する「モバコレ」などのショッピングサイトで買い物をしてもモバゴールドがたまるなど、ゴールドを獲得する手段が多い。
さらに、モバゲータウンの場合はプロフィール画像をアバターだけに制限しており、「アバターより自分の画像を表示させたい」という要求がユーザーから上がらないようになっている。
この点は、最初から匿名コミュニティを目指したモバゲータウンと、自分の現実の友人とより積極的につながるために生まれたGREEという、当初の設計思想の違いによるところが大きいだろう。
このほか、グリーの主な収益源が広告とユーザー課金(有料会員およびアバターアイテムの販売)による点も、今回の騒動が起きた要因の1つといえる。グリーとしては収益を上げるために、積極的に広告主のサイトに登録してもらったり、アバターアイテムを購入したりして欲しいという思いがある。そのある種の「下心」を見透かされ、特に若いユーザーから「金儲けしか考えていないのか」といった反発を招いてしまった。
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