騒ぎが大きくなったもう1つの問題が、事前の告知の方法だ。グリーは各サービスのトップページに「お知らせ」として、1週間前からこの事を告知していた。しかし、いざアバターを自動表示にすると、多くのユーザーが「聞いていない」と反発した。中にはこのお知らせを読んで知っていたユーザーもいたが、「いきなり表示を変えられた」という思いを抱いたユーザーが、より強い反発心を抱いてしまったようだ。
グリーとしては、9月中旬にまずグリゲーで同様の告知と切り替えを行い、そのときには特に混乱がなかったため、同じ方法でクリノッペにも導入した。また、自社調査でユーザーの半分以上はプロフィールページにアバターを表示しており、特に問題はないと判断していた。
告知方法が不十分だったことは田中氏も認めており、「もっと長い告知期間が必要なのか、色を変えるなどして目立たせるべきか、もっといろいろなところで告知すべきかなど、より良い方法を探り改善していく」としている。
そしてもう1つ、田中氏がまったく予想外だったことだが、ユーザーの反発をさらにあおったことがあった。田中氏が9月11日に書いた日記の内容だ。「アバターについてそろそろ言っとくか」という件名のこの日記は、今回の騒動が起こる前、「アバターの自動表示とは無関係に」(田中氏)、アバターの面白さについて書いた日記だ。
この中で田中氏は「アバター、超面白い。相当、面白い。今日も2000円使いました。アバターのこの面白さを知らない人がいたら、声を大にしてお伝えしたい今日この頃です」と書いている。この言い回しや内容が、「GREE利用者を馬鹿にしてるとしか思えない」「あなたにとっての2000円は安いかもしれませんがあたくし達にとって2000円という金がどれだけ大切のものかお考えになったコトがおあり?」とユーザーの反感を買ってしまった。
田中氏としては、ほかの人のブログで書かれていた「●●についてそろそろ言っとくか」という言い回しが面白いと感じ、タイトルで流用したにすぎない。また、アバターが面白いと感じたのも本心で、「10年くらい前から、韓国でアバターが流行っていると聞いていたが半信半疑だった。それが最近自分で使うようになって、本当に面白いなと思った」と、気持ちをそのまま書いただけだった。日記は一般にも公開しているが、普段は1日のアクセス数が200〜300件程度で、「自分の友達だけが読んでいた」(田中氏)ものだから、仲間うちに向けて書いたつもりだった。アバターに1日2000円使ったというのもこの日が初めてで、そのくらい「はまる」サービスだと伝えたかった。
しかし、アバターの自動表示に反対する1人のユーザーがこの日記を発見。「祭り」の対象にしてしまった。
「いつどういう形で誰に見られるか分からないんだな、とあらためて感じます」と田中氏は困った様子だ。
9月25日にクリノッペでの切り替えを行ってから、ほぼ1週間が過ぎた。田中氏の個人ページへのアクセス数は、25日の229件が26日には1万6132件、27日には2万3207件にまで跳ね上がったが、10月3日には2174件にまで下がり、騒ぎは少しずつ沈静化しているように見える。
田中氏自身は今回の騒動の問題として、大きく2つの点を挙げる。1つは個人の誹謗中傷などが多く書かれてしまった点、もう1つは、グリーの意図とは違う噂、たとえば「このままではすべてのプロフィールページがアバター表示になってしまう」「グリーはいずれすべてのサービスを有料化し、無料では遊べなくなる」といった話がユーザーの間で広まった点だ。
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