Hotmailの容量は2倍に--ソフト+サービスを強化するMSオンラインサービス事業

田中好伸(編集部)2007年08月03日 20時33分

 マイクロソフトのオンラインサービス事業部は8月2日、2008年度(2007年7月〜2008年6月)の事業戦略説明会を開催した。同事業部長の笹本裕氏は「これまではソフトとサービスが並列に動いてきた。2008年度は、たとえばOutlookとHotmailをどう融合させていくかというような、ソフトとサービスをいかに融合させていくかが重要になっている」と語り、「ソフト+サービス」戦略を強化する方針を明らかにしている。

 同事業部のプロダクトマネジメントグループ Windows Liveチーム ディレクターの小野田哲也氏は、ソフト+サービス戦略で(1)Windowsとのシームレスなユーザー環境、(2)オールインワン・シングルサインオン、(3)コブランディング――という3つのポイントを強調している。

笹本裕氏 「ソフトとサービスをいかに融合させるかが重要」と語る笹本裕氏

 (1)のシームレスなユーザー環境とは、ソフトとしてのWindowsとサービスとしてのWindows Liveの両方を使うときに、ユーザーがその境目を意識することなく利用できるというもの。具体的に言うと、ユーザーはローカルのメールクライアントソフトのOutlookで会社のメールを送受信しながらも、メールクライアントサービス「Windows Live Mail」(旧Windows Live Mail Desktop)でプライベートなメールを送受信し、違いを意識しないという使用感を得られるというもの。この使用感は、Windows Liveの各種サービスのアップデートが、ソフトウェア更新サービスのMicrosoft Updateで提供されるといったことでも、感じることができるようになっていると説明する。

 (2)のオールインワン・シングルサインオンは、ウェブメールサービス「Windows Live Hotmail」やブログサービス「Windows Live Space」、写真共有サービス「Windows Live Photo Gallery」、ネットワークドライブサービス「Windows Live SkyDrive」などの各種サービスを、「Windows Live ID」だけで利用できるというものである。

小野田哲也氏 「WindowsとWindows Liveをシームレスに使える」とそのメリットを強調する小野田哲也氏

 これらのサービスは今後予定されているものだが、説明会の席上で小野田氏は、Live Hotmailの容量が8月中にも2Gバイトから4Gバイトになることを明らかにしている。

 (3)のコブランディングは、Windows Liveの各種サービスを、他社ブランドで展開していくというもの。サービスの実態はWindows Liveそのものだが、そこに冠するブランド名は、ほかの企業で展開されることになる。いわば、Windows Liveの各種サービスをOEM供給するのである。

 オンラインサービス事業部のもう一つの柱が、ポータルサイト「MSN」を中心にしたメディアサービスだ。そのメディア戦略では、「厳選したコンテンツを中心に、ユーザーにこれまでにない“経験”をしてもらいたい」(オンラインサービス事業部 MSNエグゼクティブプロデューサーのSean Chu氏)としている。

Sean Chu氏 Sean Chu氏は「MSNでこれまでにない経験をしてもらいたい」と語る

 その「厳選したコンテンツ」の第1弾となるのが、10月から始まる産経デジタルとのニュースポータルサイト「MSN産経ニュース」だ。MSN産経ニュースでは、すでに新聞社としては異例の「ウェブサイトを新聞編集の中心に据える“ウェブファースト”」(Chu氏)で取り組むことがすでに決定されているという。

 2008年1月に生まれ変わるMSNの対象は25〜45歳の年齢層で、「暮らしも仕事も豊かに楽しみたいという、ポジティブに生きている人たちに向けて、“MSNならば見つかる”という重要なエクスペリエンスを提供したい」(Chu氏)としている。

 新しいメディア戦略を打ち出すMSNでは、ウェブの文章にマウスをあわせると、その言葉の検索結果が表示される「コンテキスチャルサーチ」を取り入れるとともに、動画共有サービス「soapbox」との統合も計画されている。

 Windows LiveとMSNがオンラインサービス事業部の柱になるが、収益源となるのがオンライン広告だ。米Microsoftは、広告ビジネスを支える基盤として、この5月に米aQuantiveを買収する計画を発表している。その買収額は同社史上最大の60億ドルだ。

 aQuantiveを買収することで、Microsoftは広告システムの基盤を強化するとともに、効率的なツールやサービスを提供することになるという。買収が完了する2008年にも「Microsoftは、広告ビジネスの新しい領域に踏み出そうとしている」と、笹本氏は、aQuantiveの買収が同社にとって大きなメリットをもたらすことを強調している。

 またMicrosoftから発表されたプラグイン「Silverlight」も、同社の広告ビジネスに、大きなメリットをもたらすという。Silverlightは、Flashからの置き換えを狙ったものであり、オンライン広告により豊かな表現力をもたらすことができるとしている。

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