「われわれは、ブランドの数を減らして、それをできるかぎり強力なものにするほうがよい、との結論に達した。モバイル性を前面に押し出したCentrinoと、その他すべての分野で基本性能の高さを誇るCoreで市場に切り込んでいく」とThomas氏は語った。これはつまり、Core 2ブランドから「Duo」および「Quad」の文字が消える、という意味でもある。
Eric Kim氏の後任としてマーケティング部門責任者となったSean Maloney氏は、ほぼ1年が経過した今、基本に帰ろうとしている。Kim氏はSamsung ElectronicsからIntelに移籍し、マーケティング部門責任者としての短い在任期間に、同社のマーケティングに革命をもたらした。35年の歴史をもつ同社のロゴを変えた人物として今後も記憶されるだろう。2006年夏に行われた管理体制の刷新人事で、Kim氏は最高マーケティング責任者の職務を解かれ、現在はDigital Home Groupの責任者の地位に就いている。
Intelの計画に詳しい人物の話によると、同社はCoreテクノロジについても、世代の進行に応じて、「Pentium」と同様のブランド戦略を用いる可能性があるという。つまり、やがて「Core 3」、さらに「Core 4」というブランドを目にすることになるということだ。これが本当なら、次世代のプロセッサ「Nehalem」(開発コード名)は「Core 3」か、Intelが過去の表記との整合性にこだわるなら「Core III」となる可能性が高い。ただ、現段階では何も正式に決まっていない。
しかし、Centrinoのほうは特に何かが変わるわけではなさそうだ。Intelの最高経営責任者(CEO)Paul Otellini氏は、7月第3週の初めに行われた同社決算発表の電話会見で、Centrinoを2007年後半のマーケティングの中心に据える、と発表した。Intelは2006年初め、企業向けノートPCのブランドを「Centrino Pro」とすると発表して、vProを重視しない意向をほのめかした。
ViivとvProは、Intelのプラットフォーム戦略における2匹目、3匹目のどじょうだった。ときに、Centrinoのように何かヒット商品が生まれると、同じやり方で成功を繰り返せると考えるあたりは、企業もハリウッドの映画界も変わらないようだ。
Intelは、Centrinoのマーケティングプログラムを利用する基準としてパソコンメーカーに対し、同社のモバイルプロセッサのどれか1つと、同社のモバイルチップセット、そして同社のワイヤレスチップを採用したシステムであることを要求している。この条件をクリアしていれば、Centrinoの利点を宣伝することによってIntelが、パソコンメーカー自身によるノートPCのマーケティングを事実上一部肩代わりする。
Centrinoのコンセプトは2003年、ノートPCの人気急上昇という好機を捉えて発表された。2003年といえば、主流のパソコン購入者がデスクトップパソコンをノートPCに置き換え始めた時期だ。彼らはまもなくワイヤレスネットワークの利点に気づき、その結果としてCentrinoは、たちまちIntelで最も有名な製品の1つになった。
Intel社内では、プロセッサとチップセット、それに無線LANチップの3つを組み合わせてパッケージ化するということは、それぞれ別々のグループが開発するのではなく、すべてをまとめて設計するという新しい開発戦略を意味した。同社は、3本柱の各コンポーネントがばらばらの方向に向いてしまうのを防ぐため、すぐさまこの設計哲学の採用を決定し、Otellini氏は実際に、この考え方に沿って全社を再編成した。
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