KU6.comという企業名の由来を尋ねたところ、Li氏は「KU6」と声に出し、ハワイの「ハング・ルース」サイン(親指と小指を立て、残り3本を曲げる)に似た手振りをした。「KU」はクールを意味し、6はラッキーナンバーで、手振りは6を表すものだ、とLi氏は説明した。
メインルームで猫背気味にPCに向かう若者たちは何をしているのだろうか。彼らは、ユーザーが送信した動画をチェックし、コンテンツに暴力、セックス、政治的メッセージなど不適切な内容が含まれていないかどうかを調べる。検閲のフラグが立たなければ、KU6.comはその動画を掲載する。
「結局のところ、ここは中国だからね。ハハ!」と、Li氏は説明した。
中国の企業はまた、これまでの経験から、違法コピーをさほど心配せずにソフトウェア業界を育てる方法も見つけている。
「オンラインゲームは大きな成功を収めている。『PlayStation 2』が十分に売れたら、そのころにはすべてのゲームが不正コピーされるだろう。だがオンラインゲームの場合は、サーバー側で管理できる」と、アジア専門のコンサルティング企業、BDAのマネージングディレクターTed Dean氏は語る。「人気歌手の場合、シングルチャートでトップ40に入るよりも、中国移動通信(チャイナモバイル)で着信音を2人民元(約26セント)で販売する方がもうかる。CDはコピーされてしまうからだ」
比較的古参のソフトウェア企業も、同様に利益を上げている。Incesoft Technologyは、ユーザーがいくつかのテーマに関して自然言語検索を行うための、メッセージングアプリケーション用プラグインを開発している。上海行き航空便のリクエストを入力すると、自分のIMクライアントがいくつかの航空会社から航空券を購入できるページを探し出すほか、楽曲や天気予報も検索する。Incesoftは、コンテンツプロバイダーと売り上げを分け合うことで利益を出している。MSNとYahooはともにIncesoftと契約を結んでいる。
投資会社WI Harper Groupの投資ポートフォリオは、中国で成功している分野をはっきり示している。同社は、米国で主に半導体とネットワーク企業に投資してきたが、中国では資金の大半をメディアや消費者に関連する分野に投じている。こうしたメディア企業には、液晶ディスプレイ広告を手がけるFocus Media Holdings、商業写真のPanorama Media Holdings、掲示板サイトを監視し企業の評判を計測するDaqi、利益分配を通じてもうけを出すブラウザ開発企業Maxthon、デジタルマガジンを発行するNuChannel Holdingなどが含まれている。
「中国でわれわれが行うことの多くは消費者が原動力となっており、その多くは技術主導というよりも(ビジネス)モデル主導だ」と、WI HarperのパートナーであるWayne Shiong氏は語った。
公共の場に設置した液晶スクリーンでの動画広告を手がけるFocusは、Web 2.0を中心とする盛り上がりに一役買ったと大勢から認められている。重要な点は、同社が液晶スクリーンを設置したのが人が多く集まり列をなす場所だということだ。そういう場所は中国にはいたるところにあるが、具体的には、銀行のロビー、ショッピングセンター、コンビニエンスストア、エレベーターの中、エレベーターに隣接するロビーなど、人が1分間かそれ以上待つようなところだ。
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