中国で人気を呼ぶウェブブラウザ「Maxthon」

文:Stefanie Olsen(CNET News.com) 翻訳校正:尾本香里(編集部)2006年06月27日 10時00分

 検索エンジンの検閲に苛立つ中国のウェブサーファーたちが、これまであまり知られていなかったインターネットブラウザに注目し始めている。中国にはこのブラウザの熱心な愛好者が存在する。

 北京の小さな企業Maxthonにより作成された同名のブラウザは、中国で多数の利用者を獲得した。このブラウザはウェブプロキシを介してトラフィックを処理し、政府の情報規制を迂回することができる機能を有するためである。Google、Yahoo、MSN、Baidu.com、その他の人気サイトまたは中国内のISPの検索エンジンには政府による規制の対象となっている。

 同ブラウザは中国を発端に、欧州でも人気を呼び、 2006年にラスベガスで開催されたConsumer Electronics Showに登場したおかげで、今や米国でも少しずつ注目され始めている(もっとも米国ではまだほとんどの人に知られていないが)。同ブラウザは2003年の提供開始以来、これまでのところ約6000万人にダウンロードされている。Maxthonの調査によると、中国のウェブ利用人口のうち約14%が同社のブラウザを利用したことがあり、17%がBaiduなどのウェブ検索をするときに同ブラウザを立ち上げているという。

 「中国では爆発的な人気を呼んでいる」とMaxthonのシニアバイスプレジデント兼パートナーであるNetanel Jacobsson氏は言う。

 Maxthonがプロキシの機能を公に宣伝しているわけではない。こうした迂回策の存在が中国のウェブサーファーの間でウィルスのごとく急速に広まっただけのことである。同ブラウザをダウンロードして始動させる人々は、かなり技術に詳しいはずだと思われるが、Jacobsson氏によると、中国語による様々な掲示板でその取扱方法の説明がなされているという。

 「この機能はそれを知っている人々のために提供されている」とJacobsson氏は最近のCNET News.comの取材のなかで述べている。

 実際のところ、Maxthonの幹部や出資者がこの機能をプロモーションの材料として大々的に取り扱わないのには、明白な理由がある。GoogleYahooMicrosoftといった米国企業が中国市場に参入し、同国政府の意向に従って多数のウェブサイトへのアクセスを遮断したことを受けて、中国における検閲は重大な問題となっている。

 Yahooは反体制派の情報を中国政府に引き渡しさえした。中国における検索エンジン大手の行為は、言論の自由を訴える人々から米政府に至るまでの多方面から非難の的となっている。

 しかしMaxthonに草の根レベルの愛好家がいることには他にも理由がある。Maxthonはポップアップを含むすべてのウェブ広告をフィルタリングする機能を備えている。これは、にぎやかな作りの中国のウェブページ環境においては貴重な特色である。多数の「スキン」によりハイレベルのカスタマイズが可能であり、タブブラウジング機能や、RSSフィードの検出機能およびリーダー機能、そしてソフトウェア会社Avvenuとの提携によるリモートファイルアクセス機能が含まれている。同ブラウザではまた、人々がブラウザにアドオンを作成する意欲をかき立てるようなプラグインの開発プラットフォームが提供されている。

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