2007年になり中国の各IT系メディアは2007年の中国のIT業界を予測記事を掲載した。そこで中国のIT業界予想図の中でも、結果的に複数のIT系メディアが共通した見解を持っていたジャンルであるデジカメ、ノートPC、シリコンオーディオプレーヤーについてここで紹介しよう。
2006年はプライスリーダー的な存在の中国メーカーである神舟電脳が2999元(45000円強)のノートPCをリリースして話題になったが、全体では5000元前後のノートPCに消費者の興味は集まったと、メディアは分析している。2007年はHewlett-PackardやDellらが2006年より安い価格の機種を投入することで、中国メーカーとの価格差を縮め、大都市部で攻勢をかけるとともに、新たな市場を求めて主要大都市以外の地方都市にも積極的に展開するだろうと予測している。地方都市市場ではレノボら中国メーカーがデスクトップPCを中心に既に販売をしているが、「外国ブランドのノートPC」という高級感を武器に地方都市の高所得者層をターゲットとするだろうと予想する。中国は「64bit」を前面に押したAMDがインテルに迫る人気で、インテルのSanta Rosaの話は少しだけ書いておいて「AMDがノート用プラットフォームを新たに投入するとき、ノートPCの性能全体が引きあがる」という中国メディアの記事も散見した。
ネットカフェで投入されるような、オンラインゲームなどエンターテインメント目的で利用されるPCの現状の性能について、人々は満足していないようで、クアッドコアCPUや新たなビデオチップ搭載のビデオカードが登場すれば、ネットカフェのPC端末を中心に普及していくだろう、またネットカフェ間の競争の結果、年内には20インチ以上のモニターが売れ筋になるだろうと各メディアは予測する。中国メーカーが一歩先をゆく地方都市での市場開拓はさらに続き、内陸の豊かでない都市にまで中国国内メーカーは市場を広げると予想している。また地方都市市場を開拓する一方で、利潤の低くならない、中小企業向けやネットカフェ向け、リビングホーム向けなどの特定用途向けのPCが各社からリリースされるのではないかと予想している。
2006年のデジタルカメラ出荷量は、2005年と比べて40%増を記録。2007年も2006年同様かそれ以上の出荷量になると予測しているが、今までの中国における画素数絶対主義的な傾向には変化が起きるだろうという。その1つとしてデジタル一眼レフカメラが2007年はいよいよ本格的に普及しだすだろうと予測するメディアは多い。またデジタル一眼レフカメラの普及により、ハイエンドコンパクトカメラの需要が減り、デジタル一眼レフカメラか、日本メーカーのローエンドモデルに需要は集中するだろう。画像の表現力や顔認識など機能面が注目されはじめ、画素数の割に手頃な価格で製品を提供してきた中国デジカメメーカーがさらに苦境に立たされるだろうと予測する。
MP3プレーヤー、MP4プレーヤーなどのポータブルシリコンオーディオプレーヤー市場では2006年、価格競争が収束する一方、中国でもiPodに注目が集まり始めたように、単なる再生できる機械から、デザインが良かったり付加機能が特徴的な高付加価値機種に注目が集まった。2007年は値段をそのままに、いかに高付加価値をつけ、どれだけ大きなサイズの液晶を投入するかが鍵となるだろうと予測する。またそれとは別にじわじわと注目が集まりつつあるiPodがどこまで中国人消費者の支持を得るかも興味深い。
以上、4つのジャンルの予想を紹介したが、コンシューマーからエンタープライズ向け製品にいたる、ほかのジャンルの予想を見ると、2007年はそれぞれ似た傾向があることが見えてくる。中国ではどのような魅力的な新製品やサービスが登場するかよりも、中国メーカー先行型の価格競争が激化する中、高付加価値製品をラインアップにもつ著名な国際企業が価格競争に参入することで、価格のアドバンテージを持つ中国メーカーはどのように生き残ることができるかが焦点となっている。中国のIT系メディアはいずれも中国メーカーの創造力あふれる変わった製品やサービスに期待しておらず、プライスリーダーとしてしか中国メーカーに期待していないのだろうか。
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