そして、ライバルのAMDは、ノートPC向けの統合型グラフィックスにおいてIntelが抱える弱みを突き、優位に立とうと狙っている。AMDは、2007年になってから陥った苦境から世間の目をそらそうと、同じ作戦を使ったことがある。
IntelがSanta Rosaシリーズを発表する1週間前、AMDはサンフランシスコに記者とアナリストを集めて昼食を兼ねた説明会を行い、IntelのノートPC向けグラフィックス統合型チップセットについて、その性能を酷評した。AMDの幹部は、同社のノートPC向け新型チップセット「AMD M690」シリーズを搭載したノートPCのデモを行った。このシリーズでは、新しく同社の傘下に入ったATIが統合型グラフィックスチップの設計にあたっている。比較対象としては、IntelのデスクトップPC向けグラフィックス統合型チップセットの中でも最高ランクの「Intel 965 Express Chipset」シリーズが用意された。
当然のことながら、このデモ対決ではAMDが勝利した。ゲーム「Far Cry」を使ったデモでは、動画再生の滑らかさ、および1秒間あたりのフレーム数において、AMDのモバイルチップセットのほうが勝っていた。このデモの狙いは、Intelから965シリーズのモバイル版が出たとしても、AMDの現行のモバイルチップセットの方が優れているということを示す点にあった。
ハードウェアマニアからも、グラフィックス統合型の製品によって、AMDはデスクトップPC市場で優位に立っているとするレビューがこの数カ月の間に出ており、AMDの主張を援護するかたちとなっている。あるIntel関係者は、さまざまなニーズを持つ、幅広い層のコンシューマーを満足させるため、性能やバッテリの駆動時間など、複数の要素を頭に置きながら、モバイルチップセットの設計に重点的に取り組んでいると話している。
しかし、家庭向けPCユーザーのノートPCへの移行が続くとすると、ノートPCでちょっとしたゲームを楽しんだり、グラフィックス機能に負荷がかかるプログラムを使ったりするケースが、今後はますます増えると思われる。本格的なゲーマーはデスクトップPCや大型のノートPCを選ぶかもしれないが、一般的なコンシューマーの大部分は、筋金入りのゲーマーと基本的な機能しか使わないPCユーザーの間に位置づけられると、McCarron氏は指摘する。
グラフィックス機能について「モバイルPCの市場がPC市場全体の半分を超えようとしていることを考えれば、デスクトップPCの市場と同様の多様性を実現する必要が出てくる」とMcCarron氏は話している。デスクトップPCを買う場合は、グラフィックス機能に関して、ディスクリート型や統合型など、さまざまな選択肢がある。これに対して、ノートPCのユーザーには、低価格帯に属する統合型のグラフィック機能という、1つの選択肢しかない場合が多い。
Intelの幹部たちは、先日行われたアナリストとの会合でも、同社の弱点となっているグラフィックス統合型チップについて、てこ入れを行う予定だと語っている。Intelのグラフィックス統合型チップの性能は、従来は毎年約20%の上昇にとどまってきたが、同社ではこれを毎年50%上昇させたいとの考えだ。
他の分野、特にサーバ市場では、AMDがIntelの市場に猛烈な食い込みを見せているが、そのAMDも、Intelが最も強みを持つノートPC市場では苦戦している。IntelのBrown氏は、同社がこの市場で80%ものシェアを獲得している要因について、グラフィックス機能、マシン性能、バッテリ駆動時間に対するバランスがとれたアプローチが功を奏しているとの見方を示した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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