ガートナー ジャパンのリサーチ部門は4月26日、2006年の国内のPDA/ハンドヘルドPC市場におけるベンダー出荷台数の調査結果を発表した。
調査によれば、2006年の国内のPDA/ハンドヘルドPCの出荷台数は、前年比115.2%増の52万6000台で、前年比63.1%増の39万9000台とする1年前の予測を大きく上回る結果となった。同市場は、2002年から2005年まで4年連続して2ケタのマイナス成長を続けていたが、一転して3ケタの大幅な増加となった。日本で出荷台数が50万台を超えたのは2003年以来という。
2006年は、通話型ワイヤレスPDA(スマートフォン)の登場と市場の立ち上がりが、市場全体の成長を牽引した。2005年末にウィルコムのシャープ製PHS「W-ZERO3」が一般市場向けに出荷開始され、同レベルのスペックを持つ従来型PDA製品と比較して値ごろ感があったこと、通話・データ通信サービスが、比較的安価な定額制であったことなどが奏功して、出荷が急速に拡大した。
ドコモやソフトバンクモバイルもスマートフォンを投入し、ドコモは法人市場をターゲットに事業を展開。しかし、2006年におけるスマートフォンの主要なユーザーは、既存のPDAユーザーやテクノロジーに敏感な個人ユーザーか、仕事用に自己投資する企業内個人であり、法人需要は海外既存ユーザーの日本における展開や、一部の特定業務用途、評価機用の購入に限定された。
一方、従来型PDA市場は、ハンディターミナルからの置き換え需要、小売販売員・流通業の現場職員など起立型ワーカー層の情報化端末、RFIDを活用した新規案件、そのほかソリューションなどの法人需要が中心となり、縮小した。
ベンダー出荷動向を見ると、2006年出荷台数の上位5社は、1位から順にシャープ、HTC、マイタック、日本ヒューレット・パッカード、カシオ計算機となった。2005年に比べて2006年は上位ベンダーの入れ替わりが大きく、2006年に市場参入したHTCが第2位、2005年に第7位にあったマイタックが第3位となっている。
ガートナーでは、2007年の国内のPDA/ハンドヘルドPC市場はプラス成長を維持するとみており、出荷台数は前年比6.2%増の55万8000台と予測している。引き続き従来型PDAが縮小する一方で、スマートフォンがラインアップ拡充により市場成長を牽引。2007年後半には、マイクロソフトの次期OSのWindows Mobile 6.0搭載製品の出荷に伴い、参入ベンダーと製品ラインアップの増加が見込まれるという。
また、企業においてスマートフォンが広く採用されるには、まだ課題が残されていることから、法人市場は一部の先進企業や特定業務用途を除き、試験導入が中心となり、個人の裾野拡大とハイエンドユーザーの買い換え需要主導で市場が成長するとしている。
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