複数のCEOが問題の責任を取って辞任もしくは解任を余儀なくされるなか、AppleにはJobs氏の責任を追及する様子が見られない。同氏は、ハイテク業界に欠かせないCEOとみなされているからだ。Appleは、Jobs氏がオプションのバックデート処理による会計上の影響を理解していなかったとし、個人的な利益を享受したわけでもないと繰り返し述べてきた。
しかし、Anderson氏の声明は、Jobs氏がオプションのバックデート処理が会計に与える影響を認識していたことを示唆している。
Appleの広報担当Steve Dowling氏は、SECが訴訟を提起した相手はAppleの元従業員であり、既存の幹部は1人も含まれていないとしたうえで、Anderson氏の主張に関するコメントを控えている。
Anderson氏の主張によると、同氏は、経営陣へのオプションの付与日を2001年1月2日とすることを取締役会が承認したと、2001年1月後半にJobs氏から聞かされたという。Anderson氏はさらに、Macworld開催後の株価上昇に乗じようとしたとの疑惑を避けるため、この付与日を1月17日に変更することをJobs氏とHeinen氏が後から承認したとも述べている。当時のAppleの規則では、1月17日の株価が1月2日より高ければ、こうした行為をすることは認められていた。また、実際の株価もそうなっていた。
Anderson氏は、オプション付与日を実際の付与認定日にしない場合は、費用を計上する必要があることを1月にJobs氏に警告したと主張する。しかし、Appleの取締役会は実際に付与日を承認したのは2月上旬とされており、Jobs氏が本当に1月の取締役会の事前承認をとりつけていたのかは疑わしい。Anderson氏はSECとの和解のなかで1月17日から2月の承認日の間に得た差益を払い戻している。
Anderson氏は 2001年10月のオプション付与には関与していないという。Appleの取締役会は2001年8月、Jobs氏への750万株のオプション付与を承認したが、実際にオプションの付与が完了したのは12月18日だった。また、付与日が、取締役会が開かれたとされる10月19日に操作されていた。しかし、Appleは10月19日に取締役会が実際は開かれなかったことを認めている。
Appleは10月の付与日を正当化するために、臨時取締役会が開かれたように見せかけるための議事録を作成した。この議事録の責任者が今回の裁判で重要な鍵を握るものと思われる。SECはHeinen氏が偽造文書の作成を命じたと主張している。これに対し、Heinen氏の弁護士らは、Appleの社内弁護士Wendy Howell氏が勝手に議事録を作成したと主張する計画であると、San Jose Mercury Newsは今週報じている。Howell氏の弁護士はこの報道に異議を申し立てている。
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