「Mac版Office 97を発売しないという脅しは、当社が交渉で使える最強の切り札であることは確かだ。もしそうすれば、即座にAppleに大打撃を与えるからだ」と、Waldman氏は記している。「しかし、こうした話し合いがどのような結果になろうとも、私はMac版Office 97を出荷すべきだと信じている」
Waldman氏はこう付け加えた。「さらに言うなら、私の考えでは、われわれはこれを直ちに決断する必要があると思う--これまで当社は優柔不断のせいで、さまざまな損失を招いてきた。このままだと状況はさらに悪化するだろう。コード開発が製品として出荷できる段階に近づいているだけでなく、報道機関や顧客に対して宣伝を開始する必要があるところまで来ている。特に、1カ月先には『Macworld』を控えているのだから」
Waldman氏は持論を展開する中で、彼が率いるチームのモチベーションの高さと、Microsoftがプロジェクトを中止した場合に彼らの士気に及ぼす影響を指摘した。また、ユーザーや投資家たちにOfficeの新バージョンを出すと約束した以上、ソフトウェア大手としてのMicrosoftの信頼性を維持する必要があること、社外向けベータ版の出荷開始が1997年8月27日に迫っていること、そして当然ながら、製品の品質も高いことについて言及した。
「われわれは優れた製品の開発を進めていて、それもほぼ完成に近づきつつある。私には、われわれが正しい製品--自分たちが満足できると同時に、顧客、メディア、アナリストから喜んで受け入れられる製品--を作っているという確信がある。われわれは、『Windows』版Office 97をベースに、Windows版との相互運用性が100%確保された、MacユーザーのためのMac用製品を作ることに注力してきた」(Waldman氏)
Waldman氏はまた、Windows版Officeの発売前に、製品やマーケティングコンセプトを試す手段として、Mac版Office 97を利用できることにも言及した。
「Windows版と比較して、Mac版Officeの方が当社のビジネスに及ぼす影響が少ないので、先にMac版で製品やマーケティングに新しい要素を採り入れてテストし、後からWindows版で試すという、柔軟な展開ができる」と、Waldman氏は述べた。さらに同氏は、「私は個人的にも、Mac市場に関心を寄せてきた。というのも、新しいトレンドがまずそこで生まれ、やがてWindowsでも重要になっていくという現象を、これまで何度も見てきたからだ」と付け加えた。
Office 97では、ハードディスクを占有する容量、メモリの使用領域、必要以上に増えすぎた機能などの点で、「肥大したソフトウェア」という懸念が、現実的な問題になっていた--こうした不評は、その数年前にMac版「Office 4」を市場に投入した時の反応とよく似ていた、とWaldman氏は指摘する。
「われわれは、これとまったく同じことを3年前のMac版Office 4の時に耳にした。だが、Windows版に関しては、そうした反応はなかった」(Waldman氏)
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