Calvin Coolidgeが米国大統領だった1920年代まで、太陽エネルギーを有効に利用する方法として人気を集めていた太陽熱温水器--それが今、復活の時を迎えようとしている。
太陽熱温水器は、ガスや電気の代わりに太陽エネルギーを熱源として水を温めるものだが、アナリストやソーラーパネル設置企業によると、これから数年の間に普及が進む可能性が高いという。太陽光で水を熱するという発想は、中国ではすでに強い支持を得ているが、米国内ではまだごく一部が盛り上がっているに過ぎない。
「太陽熱は使わない、などという考えは馬鹿げている」と語るのは、ベンチャー投資会社、VantagePoint Venture Partnersのパートナーでクリーンテクノロジを専門とするBill Green氏だ。
Mondial Energy社長のAlex Winch氏は、太陽熱に対する関心は高まりつつあると言う。Mondial Energyは、大きな建物に太陽熱システムを設置し、システムから生まれた熱を建物の所有者に再販売する仕組みで利益を得ている。トロントに本拠地を置くMondial Energyでは、これまでにカナダ国内の高齢者施設100室分にシステムを設置しており、さらに先日、米国の複数のホテルと設置の仮契約を交わしたという。
太陽熱システムは、それほど日照量が多くないと思われている場所でも、ガス代を相殺するくらいの熱を生み出すことが可能だとWinch氏は話す。Winch氏が最初に取り組んだプロジェクトは、トロントのコインランドリーBeach Solar Laundromatだった。トロントは今、雪の季節だが、オンラインのエネルギーメーターを見ると、Beach Solarに設置されたシステムは過去1週間に382kWを発電している。
「今、オフィスから外を見ると、高さ1.2mほど積もった、文字通りの雪の堤がある。しかし、ガスボイラーには、通常の水温より10〜20度ほど温かい水が供給されている」(Winch氏)
太陽熱温水器に関する議論は、米国時間2月19日からサンフランシスコで開催されている「Cleantech Venture Forum XII」でも、重要な話題の1つとして取り上げられるだろう。このフォーラムは、クリーンテクノロジに取り組む新興企業が飛躍を遂げるための絶好の機会として、にわかに注目を集めている。
地球温暖化とエネルギーコストの上昇以外に、システム自体が非常にうまく機能しているという事実も、太陽熱温水器が注目を集める要因の1つになっている。ソーラーシステムの設置を行うSun Light and Powerの最高経営責任者(CEO)、Gary Gerber氏によると、太陽光から熱を引き出すほうが、電気を引き出すよりもずっと簡単だという。太陽熱温水器は、最終的には到達した熱の約半分を利用する。これはソーラーパネルが太陽光を電気に変換するのと比べると、2倍から3倍の効率だ。
また、太陽熱温水器は一般に思われているほど不格好なものではない。一部の地域では屋根上に水タンクを置く方式が使われることもあるが、ほとんどの家主はタンクを階下に置く方式を選ぶ傾向にある。太陽熱を集めるのは、屋根に設置された、金属とガラスによる4フィート×10フィート(約1.2m×約3.1m)のパネルだ。温水器を構成する部品は、Rheem ManufacturingやApricus Solarなど、さまざまな企業が製造しており、Sun Light and PowerやPoco Solarといった企業が設置を行っている。
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