「4×10(フィート)のパネル1、2枚と貯蔵タンク1基を使えば、通常は家庭の温水の60〜80%をまかなえる」とGerber氏は説明する。120ガロン(約454リットル)のタンクを備えた一般的な太陽熱システムを設置するには7000ドルから1万ドルかかる。ただし、国から2000ドルの補助金が得られるので、10年以内には収支が釣り合うという。
仮に太陽熱温水器が盛り返せば、「歴史は繰り返す」ことを示す一例になるだろう。1900年ごろから1920年代にかけて、太陽熱温水器はフロリダ州、およびカリフォルニア州のロサンゼルスやバークレーといった街で人気を博していた。
しかし、Mondial Energyのパートナー企業、Fat Spanielの最高技術責任者(CTO)、Chris Beekhuis氏によると、当時は公益企業がガスへの転換を消費者に促したという。極端なケースでは、設置済みの太陽熱温水器をガス温水器と無料交換するといった施策も取られた。その結果、20年で太陽熱温水器の大部分が姿を消したとBeekhuis氏は話している。Fat Spanielは家庭および企業向けに太陽光発電および太陽熱温水器の性能監視装置を提供している。
陰謀論者なら、こうした経緯を見て、これも石油企業による策略の一例だと指摘するかもしれない。しかし、当時は天然ガスがかなり安かった。
「当時、ガスの価格よりも安く済ませようという動機はなかった。現在では環境問題とコストの問題がある」(Beekhuis氏)
ほとんどの場合、家の持ち主がガス管と完全に縁を切ることはない。そもそも、太陽熱温水器は夜間に熱を集められないからだ。しかし、Winch氏によると、一般に考えられるよりも経済的に見合うケースは多いという。例えば、カナダの北部にある準州、ヌナブートでは、太陽から得られる熱エネルギーはトロントの75%しかない。しかし、ガスはトロントの8倍高いため、太陽熱を利用するのは理にかなっている。
より日照量の多い地域なら、大きな不動産を持つ地主は、太陽熱エネルギーを利用してガス料金の変動を吸収できる。Winch氏によると、Mondialは契約のもと、10年間の固定レートで熱を地主に販売しており、そのレートは現在のガス料金を下回っているという。
投資銀行ThinkEquity Partnersのアナリスト、David Edwards氏によると、中国はすでに太陽熱エネルギーを大いに取り入れているという。容量で見た場合、2005年に設置された太陽熱温水器のうち、約80%を中国が占めている。全体で見ても、世界全体の太陽熱温水器のうち、容量にして60%が中国にあるという。
また、イスラエルでは、総戸数8戸以下のアパートやマンションは太陽熱温水器を設置しなければならない。エルサレムなどの都市部では、屋根上タンク式の古い温水器が数多く目に入るはずだ。
American Council on Renewable Energy(ACORE)の議長を務めるMichael Eckhart氏は、こうした中国の勢いは、米国企業がこの市場に参入する機会を阻害しかねないと指摘している。2006年、中国が生産した太陽熱エネルギー関連製品は30億ドル相当に及んだ。
「(最近)中国を訪れた時、製品を輸出するべきか、といった質問を受けた。このように、(中国の)太陽熱温水器産業の進展には著しいものがある」(Eckhart氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)