建物の設計の仕方によって、労働者の生産性や児童の成績が向上することが、建築専門家らの話により明らかにされた。
Clean Tech Venture Forumカンファレンスで26日に公開討論会が行われ、複数の建築技術の専門家がパネルとして参加した。彼らの話によると、いわゆるグリーンビルディング(高性能ビルディング)は、エネルギーコストを抑えつつ、従来の建物に比べ、人々により高いプラス効果をもたらすことが、複数の研究結果から明らかになったという。
グリーンビルディングには、居住者が快適に過ごせるようする目的で、空気の質や明るさなどの向上をはかるための様々な技術、材料、設計手法が盛り込まれている。またこの建物には、コンピュータ制御の温度調節システムといった、いわゆるクリーン技術が導入されている。クリーン技術とは、建物の物理的構造を稼働させるために必要なエネルギーや天然資源を削減することにより、建物が環境に与える影響を軽減する技術だ。
討論会に参加した専門家によると、グリーンビルディングには様々なメリットがあるが、中でも居住者の健康が向上するという点が、あらゆる業界/政府機関の設計者をグリーンビルディングの建築に駆り立てている最大の理由だという。建築関係のコンサルタント会社PinnacleOneによると、2004年には建物を建築している米国の不動産所有者の6割が、エネルギー効率を高める設計を導入したという。
例えば、カリフォルニア州トランスにあるToyota Motor Salesのキャンパスには、北米最大級の商用ソーラーパネルシステムがあり、さらに1100万ガロンの飲料水が貯蔵されている。またBank of Americaは、マンハッタンのミッドタウンに、最新鋭の換気装置、床から天井まである大窓、水を必要としない小便器を備えた54階建ての超高層ビルを建築中だ。
エネルギー効率の高いグリーンビルディングは、持続可能なビジネスの概念、すなわち、事業を行う上で環境への影響を最小限にとどめたいという各企業の希望と合致する。しかし、一部の設計者や建築家は、純粋な経済的根拠から、たとえ一般の建物に比べ建築コストが高くついてもグリーンビルディングを建てる価値があると主張する。その根拠とは、社員の生産性だ。
「生産性(の向上)こそ、グリーンビルディングであることの決定的証拠であり、生産性の向上を求めて今後さらに多くのグリーンビルディングが建設されるものと確信している」と語るのは、Green Building Councilの社長兼CEOであるS. Richard Fedrizziだ。Fedrizziによると、グリーンビルディングでは、社員の生産性が平均で2〜16%上昇するという。
「米国の大半の最高財務責任者(CFO)は、(グリーンビルディングによって社員の生産性が向上するという話を)信じておらず、ばかげた話だと考えている。しかし、実際に多くの業界でその効果が出ている」とFedrizziは語る。同氏はさらに、2004年に総額80億ドルがグリーンビルディングの建設に投じられたと付け加えた。
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